交際費(読み)コウサイヒ

デジタル大辞泉 「交際費」の意味・読み・例文・類語

こうさい‐ひ〔カウサイ‐〕【交際費】

世間的な付き合いに必要な費用
官庁会社などで、職務上の交際に必要とする費用。

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精選版 日本国語大辞典 「交際費」の意味・読み・例文・類語

こうさい‐ひカウサイ‥【交際費】

  1. 〘 名詞 〙
  2. つきあいのために必要な費用。生活上、世間とのつきあいに必要な費用。
    1. [初出の実例]「明智の女房は自己が髪をさへ亭主の交際費のために犠牲にしたぢゃあ無いか」(出典:付焼刃(1905)〈幸田露伴〉三)
  3. 官庁や会社などで、職務上のつきあいのために必要な費用。
    1. [初出の実例]「一万円は交際費(コウサイヒ)、残り一万円は仕入の資本」(出典:屑屋の籠(1887‐88)〈西村天囚〉前)

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改訂新版 世界大百科事典 「交際費」の意味・わかりやすい解説

交際費 (こうさいひ)

株式会社やその他の法人が,その得意先,仕入先,その他事業に関係のある者に対して行う,接待供応慰安贈答,その他これらに類する行為のために支出する費用をいう。交際費の支出額は,産業別,業種別特性により大きく異なる点もあり,また中小企業恩典が与えられていることからも明らかなように,企業にとって交際費は業務遂行上必要不可欠の側面がある。しかし,日本はあまりにもその支出が多額であり,また公私混同の危険性もあり,社会的にも問題になっている。そこで,交際費の効果的な支出を図るための交際費管理が重要となる。その方法として,個人枠制度,渡切り制度,社内金券制度,事前承認制度,変動予算制度等の交際費の個別管理の制度があるが,交際費の真の目的は,企業業績を上げることであり,金額の多寡ではない。そのためには,交際費と業績を結びつけた管理システム,すなわち事前にラインが自己管理し,事後にスタッフが管理するという二重管理システムと,売上高でなく貢献差益で評価する業績評価システムの確立が必要である。
執筆者:

交際費は,企業会計上は本来経費とされるべきものであるが,その具体的内容は,飲食,ゴルフ,贈答といったものであり,交際費を支出する法人やその取引先である法人の従業員が,いわば個人的にその支出の効果を享受するといった性格を多分におびたものである。このようなことから,交際費支出に対する社会的批判は強く,租税特別措置法によって,法人税の課税所得の計算上,交際費は原則として損金の額に算入されず,課税所得に含むこととされている。交際費課税の制度は,1954年に創設され,累次にわたる改正を経て,逐年,課税の強化が図られてきているが,交際費の支出額は毎年増加しており,95年度における法人の交際費等の支出の合計額は約5兆3254億円の巨額に達している。課税の対象とされる交際費等とは,交際費,接待費,機密費その他の費用で,法人がその得意先,仕入先その他の事業に関係のある者等に対する接待,供応,慰安,贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうこととされている。ただし,もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会,演芸会,旅行等に通常要する費用,広告用のカレンダー,手帳等の物品を贈与するために通常要する費用等は,交際費課税の対象となる交際費等から除かれている。この課税の対象となる交際費等の額は,資本または出資の金額が5000万円を超える法人は,その支出額の全額とされているが,5000万円以下の中小法人については,支出額のうち定額控除額を超える部分の金額が損金不算入とされる。定額控除額は,1982年度以降,資本または出資の金額が1000万円を超え5000万円以下の法人の場合年当り300万円,同じく1000万円以下の法人の場合年当り400万円とされている(定額控除限度額以下の部分についても,その10%は損金に算入されない)。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「交際費」の意味・わかりやすい解説

交際費
こうさいひ
entertainment expenses
social expenses

一般に、会社等の法人が得意先など事業に関係ある者に対し、接待、供応、慰安その他これらに類する行為をしたときに発生する費用。原価計算上は、製造に関係する部分を間接経費として製造原価に含め、その他の部分は一般管理費に計上する。

 交際費については、業務遂行上その必要性がある程度認められているが、接待費等に関与する双方がいわば個人的にその効果を受益する性格を伴うため、社会的批判が強く、そのため、税制上かなり厳格な取扱いを受ける。すなわち「交際費等」とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」をいい、「専(もっぱ)ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」などは除かれる(租税特別措置法61条の4項)。

 それはまず、支出の事実や使途が明らかで、法人の業務に関係あるもののみが損金控除性を認められ、使途不明交際費は課税対象となる。次に、損金控除性のある部分について量的規制がなされ、一定額以上の部分については、いわば過剰交際費として課税対象となる。いいかえれば損金不算入となるが、控除される金額については、交際費課税の制度が1954年(昭和29)に創設されて以来、数度の改正を経て、この枠が強化されてきている。現行規定では、資本金が1億円以下の法人の場合は、年間600万円を超える部分の金額および600万円以下の部分の金額の10%が損金不算入とされ、資本金1億円超の法人では、全額が損金不算入とされている。

[森本三男]

『山本守之著『交際費の理論と実務』4訂版(2009・税務経理協会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「交際費」の意味・わかりやすい解説

交際費
こうさいひ
entertainment expenses

企業が販売および購入を円滑にする目的をもって,取引先その他利害関係者に接待,供応,慰安および贈答などを行うために支出する費用をいう。税法上は損金に算入される (法人税法 22条3項2号) 。しかしこの種の費用は企業の営業目的に使用されたものと個人の生活上の消費であるものとの間の区分がつきにくいこと,また交際費を無制限に認めることは税の公平負担の面で好ましくないこと,さらに企業の内部蓄積をはかるうえでも問題が多いことなどから,税法は交際費の節約をはかるために,一定限度以上の交際費の損金算入を認めていない (租税特別措置法 62) 。企業会計では交際費は販売費および一般管理費に含められるものと,製造原価の一部となるものとに区分される。

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会計用語キーワード辞典 「交際費」の解説

交際費

得意先、仕入先その他事業に関係あるものに対して接待・慰安・贈答などのために支出した費用のことを交際費という。しかし、税法上、交際費は無駄なお金であり資本充実を害することおで、損金に参入することに制限を用いている。(交際費課税という)。特に資本金が1億円を超える企業では、交際費は一切損金として計上できないし1億以下の起業でも制限がある。このため、交際費は税負担が大きな費用となる。

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