精選版 日本国語大辞典 「人質」の意味・読み・例文・類語
ひと‐じち【人質】
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約束履行の保証として、相手側に渡された人。これには次の2種がある。(1)肉親や家臣を相手方へ送り、同盟、降伏、和親などの約束の履行を確保するために人身を担保とするものである。違約や相手の都合しだいで殺された。古くは『日本書紀』に神功(じんぐう)皇后のとき、新羅(しらぎ)王が微叱己知波珍干岐(みしこちはとりかむき)を質(むかわり)として日本に送ったとある。人間不信の所産なので戦国乱世にもっとも事例が多く、当時の武将相互の間では広く行われた。徳川家康の幼時、「今川殿より広忠(ひろただ)(松平)へ御人質を可給との儀也、これによりて広忠の総領竹千代殿(家康)七才に成り給うを駿河(するが)へ証人に御越被成候」(松平記)と、人質として今川へ送られたのは有名である。
その後、諸大名の妻子を都下に集めて居住させることは豊臣(とよとみ)時代に始まった。それまでの戦乱がようやく収まり、全国統一がなったとはいえ、まだ諸国の情勢が十分固まったともいえないころ、豊臣秀吉は、諸大名をその領地に居住させずにおけば、戦乱の種を未然に摘むことになると考えて、諸侯の邸(やしき)を大坂に設けさせた。同時にその妻子を郭内に住まわせれば人質ともなる。徳川幕府が大名の忠誠を確保するため、証人を江戸城内の証人屋敷に居住させたのも、この種の人質である。この制度は1665年(寛文5)に廃止されたが、参勤交代の制度が確立するに伴い、大名の妻子は江戸の屋敷に居住させて国元に帰ることを禁じていたのは、広義の人質である。また人質櫓(やぐら)として、現存するものは大分城にあり、津和野(つわの)(島根県)には人質櫓跡として石垣が残る。(2)人身を質入れして、債権の担保のためになされる人質がある。古代においては奴婢(ぬひ)を、中世には子とか従者の質入れがこれで、流質になる場合もある。江戸時代には人身売買は禁じられていたが、借金の担保として年季請状のごとき証文を入れ、飯盛奉公などによる利子の返済を行い、約束の年季あけに元金の返却をして自由になれた。
[稲垣史生]
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政治的な同盟・協約を確実なものにするため,近親者などを相手方に送り,その生命を担保とすること。戦国期に広くみられた。江戸時代に幕府が諸大名の妻子を江戸藩邸にとどめ,忠勤義務をはたさせたのも人質の一つ。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…ただし明治の両布告は保証債務が相続人に及ぶとしており,これは保証人の義務は1代限りという,遅くとも江戸時代後期には確立していた原則を変更するものであった。請人(うけにん)(2)江戸時代に諸大名が忠誠のあかしとして幕府へ差し出した人質をいう。盟約,降服を保証するため人質を取ることは,とくに戦国期に頻繁に行われたが,江戸時代の証人はそのなごりである。…
※「人質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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