今更(読み)イマサラ

デジタル大辞泉 「今更」の意味・読み・例文・類語

いま‐さら【今更】

[副]
もっと早ければともかく、今となっては遅すぎる、という意を表す。今ごろになって。「今更何を言っているんだ」
今新しく。今改めて。「今更注意するまでもない」
初めて。
「―の人などのある時」〈徒然・七八〉
[形動ナリ]
今になってはだめだ。
「―なり、心やすきさまにてこそ」〈浮舟
今初めてであるさま。目新しいさま。
「―に若々しき心地する御簾みすの前かな」〈朝顔
[類語]今ごろ今時分今時今今たった今今しがた先ほどさっき先刻最前先にナウ

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精選版 日本国語大辞典 「今更」の意味・読み・例文・類語

いま‐さら【今更】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. ( 多く、下に否定疑問反語などを伴って、前の時点ではともかく、今となっては遅すぎるという気持を含む ) 今になって。今また更に。
      1. [初出の実例]「遠き山関も越え来ぬ伊麻左良爾(イマサラニ)逢ふべきよしのなきがさぶしさ」(出典万葉集(8C後)一五・三七三四)
    2. 今になって、こと新しい感じがするさま。また、ふたたび新しい気がするさま。
      1. [初出の実例]「箱王は父が昔をつくづくと聞きて、いまさらなる心地して、忍びの涙にむせびけり」(出典:曾我物語(南北朝頃)四)
    3. 今初めてのさま。急なさま。今新たに。
      1. [初出の実例]「いまさらの人などのある時」(出典:徒然草(1331頃)七八)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 多く、下に否定、疑問、反語を伴う )
    1. (前の時点ではともかく)今となっては遅すぎるという意を表わす。今となってはもう。
      1. [初出の実例]「あなかたじけな。いまさら人のしりきこえさせむも、なき御ためは、中々めでたき御すくせみゆべき事なれど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
      2. 「一度打たせ申上た物が、今さらぶあくが首でござるといふてなんと出さるる物じゃ」(出典:波形本狂言・武悪(室町末‐近世初))
    2. 今初めて。今改めて。今急に。
      1. [初出の実例]「いまさら申すべきことならねど」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)六)
      2. 「変人なのも今更始った理(わけ)ではないから」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)

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