仕出す(読み)シダス

デジタル大辞泉 「仕出す」の意味・読み・例文・類語

し‐だ・す【仕出す/為出す】

[動サ五(四)]
しはじめる。とりかかる。「ようやく仕事を―・す」
注文に応じて、料理を作って届ける。「精進料理を―・す」
しいず1」に同じ。
「かたのごとく御湯―・いてまゐらせたり」〈平家・三〉
しいず2」に同じ。
「鼓判官ガ不思議ナコトヲ―・イテ、御所ヲモ焼カセ」〈天草本平家・四〉
しいだす4」に同じ。
三文字屋といへる人、昔、懐中合羽を―・し」〈浮・永代蔵・六〉
財をなす。
「四、五年に銀二貫目あまり―・し」〈浮・永代蔵・三〉
着飾る。
花車きゃしゃに―・し、三つ重ねたる小袖」〈浮・五人女・三〉
[類語]始めるやりだす掛かる取り掛かるしかかるしかける開始する着手する幕開き開幕始まる踏み出すスタート出出し立ち上がり手始め皮切り口切り封切り起動始動発動幕がふたく・蓋を開けるしょ・ちょ端を発する口火を切る火蓋を切る幕を切って落とす狼煙のろしを上げる手を付ける御輿みこしを上げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仕出す」の意味・読み・例文・類語

し‐だ・す【仕出・為出】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙 ( 「し」はサ変動詞「する」の連用形 )
  2. やり始める。しかける。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「髪の結振を吟味仕出(シダ)し」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)一)
  3. 大きな事業や、たいへんな失敗、悪事などをする。しでかす。でかす。
    1. [初出の実例]「司馬遷がしだいたぞ」(出典:史記抄(1477)三)
    2. 「何として其様な情ない事を、仕出してたもったぞいのふ」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)三)
  4. 最初につくり出す。新しいものを考案する。工夫する。
    1. [初出の実例]「知者は、智恵をめぐらして面白きことをしたすことを楽也」(出典:応永本論語抄(1420)雍也第六)
    2. 「銅細工(あかがねさいく)する人をかたらひはじめて懐炉といふ物を仕出し」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)一)
  5. 準備する。用意する。
    1. [初出の実例]「かたのごとく御湯しだいてまいらせたり」(出典:平家物語(13C前)三)
  6. しゃれた衣服を着る。おしゃれをする。
    1. [初出の実例]「さりとは花車(きゃしゃ)に仕出(シダ)し、三つ重たる小袖、皆くろはぶたへに裾取の紅(もみ)うら、金のかくし紋」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)三)
  7. 商売を発展させる。財産をふやす。もうけ出す。かせぎ出す。
    1. [初出の実例]「仕出しては浪にはなるる舟問屋〈卜尺〉 秤の棹に見る鴎尻〈一鉄〉」(出典:俳諧・談林十百韻(1675)下)
    2. 「今は商人薬売り、藤八五文で仕出(シダ)した金」(出典:歌舞伎・東海道四谷怪談(1825)序幕)
  8. 料理を注文に応じて調理し、届ける。
    1. [初出の実例]「園枝等の逗留中は三食共仕出(シダ)させる事に為た」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春)
  9. 建造物の外がわに突き出して構える。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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