代る(読み)カワル

デジタル大辞泉 「代る」の意味・読み・例文・類語

かわ・る〔かはる〕【代(わ)る/替(わ)る/換(わ)る】

[動ラ五(四)]《「変わる」と同語源》
今までそこにあった人やもののあとに、他のものが入る。入れかわる。交替する。「市長が―・る」「運転を―・る」「土地かねに―・る」
(代わる)ある役割を他のものがする。代理をする。「一同に―・ってお礼を述べる」「電車に―・ってバスが運行する」
[可能]かわれる
[類語]代わり代物別物代表代替代替わり代用代理代行身代わり肩代わり代える入れ代わる成り代わる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「代る」の意味・読み・例文・類語

かわ・るかはる【代・替・変・渝】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. [ 一 ] ( 代・替 )
    1. ある物が退いて、その位置、立場に他の物が来る。交替する。
      1. [初出の実例]「今替(かはる)新防人(にひさきもり)が船出する海原の上に波な開(さ)きそね」(出典万葉集(8C後)二〇・四三三五)
    2. あるものが、他のものの役目をつとめる。代理する。また、身代わりになる。
      1. [初出の実例]「寛平御時なぬかの夜〈略〉人にかはりてよめる」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・一七七・詞書)
    3. 相手にぶつかりそうなところで、うまくよける。狭い所でぶつからないようにうまくすれちがう。「立ち上がりに右へかわってはたきこむ」
      1. [初出の実例]「こぎよする舟。もどる舟。ヲイかはらねへかはらねへの声、くくり戸の音と共にかまひすく」(出典:洒落本・辰巳婦言(1798)宵立の部)
  3. [ 二 ] ( 変・渝 )
    1. 物事の状態や質が、前と別の物になる。変化する。
      1. [初出の実例]「わが背子が屋戸のなでしこ日並べて雨は降れども色も可波良(カハラ)ず」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四四二)
    2. 普通と違う。多く、「て・たり(た)」を付けて用いる。
      1. [初出の実例]「さまかはりたる人々ものし侍りしに」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    3. 物事と物事との間に違いがある。
      1. [初出の実例]「大きなる松に、藤の咲きかかりて〈略〉風につきてさとにほふ香なつかしく、〈略〉橘にかはりてをかしければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)
    4. 年月などが、改まる、また新しくなる。
      1. [初出の実例]「あらたまの 月の易(かはれ)ば」(出典:万葉集(8C後)一三・三三二九)
    5. 人や物の状態に異変が起こる。
      1. [初出の実例]「此間は久しう便りをも承らぬが、替らせらるる事も御座らぬか」(出典:虎寛本狂言・抜殻(室町末‐近世初))
    6. 住所や職場が別の所になる。移転する。異動する。
      1. [初出の実例]「忍ぶともしらぬ顔にて一二年〈野水〉 庇をつけて住居かはりぬ〈荷兮〉 三方の数むつかしと火にくぶる〈荷兮〉」(出典:俳諧・曠野(1689)員外)

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