出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…【樋口 陽一】
[民法における代表]
法人の機関(手足)である理事が外部に対して行為した場合のように,ある人(この場合は理事)の行為がそのまま他人(この場合は法人)の行為としての効果を生じる関係をいう(民法53条)。代理の場合は,代理人が本人のために行為し,その効果を本人に帰属させる関係であるが,代理人の行為はあくまで代理人の行為であって本人の行為とはされず,この点で代表とは異なる。それゆえ,代表者である理事の不法行為は法人の不法行為となりうるが,不法行為の代理ということはありえないから,代理人の不法行為で本人が責任を負うのは,使用者としての責任(使用者責任)を負う場合だけであるとされる。…
…とくに19世紀のドイツ普通法時代には代理の本質をめぐって学説上の争いがあった。そこでは,(1)代理人は本人の意思を表示するにすぎず真の行為者は本人であるとする説(本人行為説),(2)代理人は一部は自己の意思を一部は本人の意思を表示するものであり本人も代理人も行為者であるとする説(共同行為説)もあったが,(3)代理人は自己の意思を表示するものであり本人はその効果を受けるにすぎないとする説(代理人行為説)が多数を占めた。代理人行為説はドイツ民法に採用され,日本の民法における代理規定の基礎にもなっている。…
※「代理人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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