デジタル大辞泉
「代用監獄」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
代用監獄【だいようかんごく】
監獄法に〈留置場を監獄の代用にできる〉と定められていたことから,警察みずから起訴前の容疑者を管理する制度。本来なら法務省管轄の拘置所で管理すべき容疑者の身柄を,警察が警察署内の留置場で管理する。このため,警察が容疑者に不公正な扱いをする恐れがあり,冤罪の温床ともいわれている。1991年東京高裁判決は〈自白の強要が行われる危険な制度〉との見解を示した。監獄法改正の過程でも議論されたが,監獄法を抜本的に改正する〈受刑者処遇法〉が2005年に制定された際に,〈刑事被告人収容法〉として代用監獄に関する規定は当面残された。
→関連項目監獄
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
代用監獄
だいようかんごく
監獄に代用された警察の留置場のこと。監獄法は,自由刑および未決勾留の執行は,監獄において行なうべきものとしつつ,警察官署に設けられた留置場を監獄に代用することを許している。代用監獄は,1月未満なら懲役,禁錮の執行にも用いることができるが,実際上捜査段階での被疑者の勾留に使用される場合が多い。代用監獄の制度は,被疑者の取り調べのためには便利であるが,被疑者を捜査機関の支配下におくことは,自白の強要や防御権の侵害に結びつき誤判・冤罪の温床になるとして廃止を求める意見も有力である。しかし,刑事施設法案 (法務省立案) および留置施設法案 (警察庁立案) においてもその存続が認められている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
だいようかんごく【代用監獄】
刑事手続上,被勾留者の拘禁を行う場所に関しては,刑事訴訟法に直接の規定はなく,勾留状の記載事項として〈勾留すべき監獄〉が掲げられているのみである(64条,207条1項)。監獄法によれば,監獄は,懲役監,禁錮監,拘留場,拘置監に分かれ,被告人・被疑者の勾留場所は拘置監とされる(1条1項)。しかし,同法は,一方で〈警察官署ニ付属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得〉と定める。これを代用監獄という。したがって,勾留の場所は,拘置監としての拘置所(支所)または代用監獄としての警察留置場のいずれかということになる。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
世界大百科事典内の代用監獄の言及
【拘置所】より
… 監獄法は〈警察官署ニ付属スル留置場〉を監獄に代用することを認めている(1条3項)。これを代用監獄という。実際上も,とくに被疑者を勾留する場所として広く活用され,現在では,起訴された被告人の勾留は拘置所,被疑者勾留は代用監獄が原則というのが実情といわれる。…
※「代用監獄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報