仰韶文化(読み)ギョウショウブンカ(英語表記)Yang-shao culture

デジタル大辞泉 「仰韶文化」の意味・読み・例文・類語

ぎょうしょう‐ぶんか〔ギヤウセウブンクワ〕【仰×韶文化】

中国黄河中流域に栄えた新石器時代文化磁山文化に次ぐ農耕文化で、紀元前五千年紀から長期間存続した。彩陶使用特徴とする。河南省仰韶村の遺跡の名にちなんで命名ヤンシャオ文化。→竜山文化

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百科事典マイペディア 「仰韶文化」の意味・わかりやすい解説

仰韶文化【ぎょうしょうぶんか】

中国,仰韶遺跡標準とする彩陶をもつ新石器時代文化。ヤンシャオ文化とも。陝西省,山西省南部,河南省西部を中心に広範囲に分布。原始的な鋤耕(じょこう)農業を営み,豚,犬などの家畜を飼養,漁猟採取も行った。安定した定住生活をし,製陶・紡織の技術,埋葬制度が認められる。
→関連項目石庖丁屈家嶺遺跡沙苑文化半山遺跡半坡遺跡廟底溝遺跡竜山文化

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仰韶文化」の意味・わかりやすい解説

仰韶文化
ぎょうしょうぶんか
Yang-shao culture

中国黄河中流域の彩陶を伴う新石器文化の総称。 J.アンダーソンによって調査が行われた河南省めん池県仰韶遺跡からその名称が出ている。かつて仰韶文化は仰韶遺跡を標準として,黄河流域の全彩陶文化をさしていたが,中華人民共和国になってからの研究によって,黄河中流域の河南省を中心とする仰韶文化と,黄河上流の甘粛仰韶文化に分けられている。黄河中流域の仰韶文化には,西安半坡遺跡を標準とする半坡類型の文化と,河南省陝県の廟底溝遺跡を標準とする廟底溝類型の文化がある。前者は彩陶が少く,土器文様は単純で動物文などに特色が認められ,後者は彩陶が比較的多く,土器の文様は幾何学文を主とし,変化に富んでいる。甘粛仰韶文化は夏 鼐 (かだい) ,尹達 (いんたつ) らの研究によって,アンダーソンの6期編年が改められ,仰韶文化,馬家窯 (まかよう) 文化,馬廠文化,斉家文化,辛店・寺窪 (じわ) ・か窯 (かよう) 文化の新編年が組立てられ,辛店・寺窪・か窯文化は同時に異なった地域に存在した文化と考えられている。また,その年代は黄河中流域の仰韶文化以後,殷・周時代に及ぶとされている。

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世界大百科事典 第2版 「仰韶文化」の意味・わかりやすい解説

ぎょうしょうぶんか【仰韶文化 Yǎng sháo wén huà】

中国の黄河中流域に栄えた新石器時代晩期の農耕文化。ヤンシャオ文化とも呼ぶ。老官台文化,裴李岡文化に遅れ竜山文化に先立つ。1921年J.G.アンダーソンが河南省澠池(べんち)県において発見した仰韶遺跡にちなんで名付けられた。従来,彩陶文化と同義に使用されてきたが,仰韶文化の基本要素は紅陶で,彩陶は一つの重要な特徴にすぎない。完全に定住生活を営み,アワ,キビ,カラシナを栽培し,犬や豚などの家畜を飼育するとともに狩猟,漁労も並行して行われた。

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世界大百科事典内の仰韶文化の言及

【彩陶】より

…焼成後に彩色するものは,各地の新石器文化の土器に存在する。 焼成前に主として酸化鉄の顔料で着色し,黒ないしは赤色に発色させた彩陶は,黄河中流域の仰韶文化で成立し発展をとげる。前期にあたる半坡(はんぱ)様式の彩陶は,粘土紐巻上げで成形し表面を研磨する細泥紅陶であり,土器全体のなかで占める割合は少なく,器種として深鉢,鉢,壺,短頸壺などに限られる。…

【農耕文化】より

… 他方,中国の黄河流域においても雑穀農耕文化が古くから発展した。磁山・裴李崗(はいりこう)文化(前6千年紀)や仰韶(ぎようしよう)文化(前5千年紀)はその最も初期のもので,いずれもアワを主作物とし,豚や犬を飼い,定着的な村落を営み,とくに仰韶文化では華麗な彩文土器(彩陶)もつくられていた。この華北の雑穀農耕文化の起源については,インドの雑穀のセンターからアワなどが伝播したと考える説と中国で自生したとみる考えがある。…

※「仰韶文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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