精選版 日本国語大辞典 「会館」の意味・読み・例文・類語
かい‐かん クヮイクヮン【会館】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
同郷、同業、同窓などの団体が会合や宿泊のため設けた施設。これはもと中国の明(みん)代に始まり清(しん)代に盛行し、民国となって急速に衰退したが、日本では明治以後各地に設けられ、今日は多くの財団が宏壮(こうそう)な施設を建設して盛んに利用されている。中国では中央政府との連絡に地方から上京するもののため、後漢(ごかん)には洛陽(らくよう)に郡邸(ぐんてい)、唐には長安に進奏院(しんそういん)、宋(そう)には開封(かいほう)に朝集院が設けられていたというが、これは官吏専用であった。商品流通が激増し、科挙の受験生も増加した明・清時代には、首都ばかりでなく地方の中心都市にも官吏と商人との共同で会館とよばれる設備が普遍化した。記録では北京(ペキン)の蕪湖(ぶこ)会館が明の永楽(えいらく)年間(1403~24)に創建されたというのがいちばん古いが、事実は全国の各地方が嘉靖(かせい)(1522~66)、万暦(ばんれき)(1573~1619)のころから北京に設置し始めたものらしい。清末の『京師坊巷志(こうし)』には405の会館を記載している。その規模の大小、性格や用途はさまざまだったが、多くは同郷団体でその地方の商人が資金を出し合い、その地方出身の官僚も援助して経営し、貨物をもって上京する商人や受験生の宿泊所とするのが普通だった。しかし同郷と同業とはほとんど共通しており、有力な商人や高級官僚が会館を独占する傾向があった。会館には公所、堂、社、祠(し)などとよぶものもあり、祭神を祀(まつ)る祠堂(しどう)や共同墓地、劇場、取引所などを設けたものもあった。ことに金融業、油業、染料、茶、塩などの同業会館は大規模のものが多く、地方都市では度量衡や市場の管理、警察、裁判、福祉などの事務にもあたったが、中世ヨーロッパのギルドのように自由都市成立の中核にならなかったのは、官僚との癒着が強かったからであろう。
[増井経夫]
『仁井田陞著『中国の社会とギルド』(1951・岩波書店)』▽『根岸佶著『中国のギルド』(1932・斯文書院)』▽『モース著、増井経夫訳『支那ギルド論』(1932・生活社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
中国で商工業などの同業者や同郷,同族などの団体が相互の便を図るために建てた建物。宋代頃に始まるが,充実した施設を備えて,会館,公所などの名で呼ばれるようになったのは明以後である。団体の構成は多様で,必ずしも同業とか同郷,同族などに限られたものではなかったが,仲間的な意識によって強く結ばれ,会館はそのセンターともなった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…それは科挙の同期会白蓮社や金剛会のような宗教・秘密結社から,政治的には胥吏(しより)や輸送業者の集団まで多種多様で,呼称も時代が下ると幇(パン)の字が多く使われた。さらに,宋以後の統一帝国の安定,全国市場を対象とした商工業の盛行とともに,各地に同郷集団の集会所である会館が出現したことが特徴的である。言語,習慣,文化程度が著しく異なり,官憲の保護などあてにできぬ広い中国で,本籍地を離れた人々は同郷集団を組まねば生きてゆけない。…
…だから,この時期にあっては,行とは同業組合を意味するとともに,特定の商業を指す用語でもあった。明末から清代にかけて,全国各地の都市には会館または公所と名づけられる建物が建てられたが,これには同郷の人々が協力して建てたものと,同業の商人が設けたものとがあった。後者は業種を同じくする商人の団体,つまり行が集会所として建てたもので,ヨーロッパ中世のギルド・ホールに類した建物であった。…
…そして行政の場が氏神=産土(うぶすな)神をまつる場所でもあったのである。朝鮮南部の村落には通常,集落の最も眺めのよい場所に会館(フェーガン)とよぶ集会所がある。ここはおおむね40歳以上の男たちが何かにつけ集まっては歓談する所であって,部落祭である堂祭(タンチェ)もここに集まった各戸を代表する男たちの討議によって,祭官の選定や祭儀細目が決められるのである。…
※「会館」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
冬期3カ月の平均気温が平年と比べて高い時が暖冬、低い時が寒冬。暖冬時には、日本付近は南海上の亜熱帯高気圧に覆われて、シベリア高気圧の張り出しが弱い。上層では偏西風が東西流型となり、寒気の南下が阻止され...
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/26 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典を更新
10/19 デジタル大辞泉プラスを更新
10/19 デジタル大辞泉を更新
10/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新