伴蒿蹊(読み)バンコウケイ

精選版 日本国語大辞典 「伴蒿蹊」の意味・読み・例文・類語

ばん‐こうけい【伴蒿蹊】

  1. 江戸中期の国学者・歌人。近江国(滋賀県)の人。本名資芳。商家主人として努めた後、家業養子に譲って剃髪し、蒿蹊と改めた。別号は閑田子、閑田廬。有賀長伯武者小路実岳に歌を学び、歌人としては平安四天王の一人として古今調の歌をよくした。文章家としても知られ「閑田耕筆」「閑田次筆」等の随筆がある。他に、「近世畸人伝」「国歌或問」など。享保一八~文化三年(一七三三‐一八〇六

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伴蒿蹊」の意味・わかりやすい解説

伴蒿蹊
ばんこうけい
(1733―1806)

江戸中期の歌人、文章家。近江八幡(おうみはちまん)(滋賀県)出身の京都の商家に生まれ、本家の八幡の伴庄右衛門(しょうえもん)家を継ぐ。名は資芳(すけよし)。別号閑田子(かんでんし)。1768年(明和5)36歳で養子資要(すけかね)に家督を譲り剃髪(ていはつ)した。洛東(らくとう)の岡崎、また三十三間堂付近などに住んだ。歌人としては武者小路実岳(むしゃのこうじさねおか)に学んで、寛政(かんせい)期(1789~1801)京都地下(じげ)歌人四天王の1人と称せられた。小沢蘆庵(ろあん)、上田秋成(あきなり)など当時の有名な歌人や文人と親交があった。淡泊な詠みぶりで古今調の歌をよくし、家集に『閑田詠草』がある。文章家としては当時第一で、和文集に『閑田文草』があり、また『近世畸人伝(きじんでん)』、随筆『閑田耕筆』『閑田次筆』など著書も多い。

[宗政五十緒]

 ながむればいづくの花もちりはてて霞(かすみ)に残る春の色かな

『『閑田耕筆』(『日本随筆大成 第一期18』所収・1976・吉川弘文館)』


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改訂新版 世界大百科事典 「伴蒿蹊」の意味・わかりやすい解説

伴蒿蹊 (ばんこうけい)
生没年:1733-1806(享保18-文化3)

江戸後期の歌人,文章家。名は資芳(すけよし),通称は庄右衛門。京都に生まれ,近江の八幡(はちまん)に本店がある商家の主人となる。36歳のとき家督をゆずり,和歌,和文の制作活動をもっぱらにする。歌学は武者小路実岳に学ぶ。寛政期(1789-1801)の地下(じげ)の和歌四天王の一人。家集に《閑田(かんでん)詠草》《閑田文草》がある。《近世畸人伝》は彼の代表作。《閑田耕筆》《閑田次筆》は近世随筆中,優れた作。《国津文世々能跡(くにつふみよよのあと)》は文章史の最初の著作として今日なお生きている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伴蒿蹊」の意味・わかりやすい解説

伴蒿蹊
ばんこうけい

[生]享保18(1733).近江
[没]文化3(1806).7.25. 京都
江戸時代後期の歌人,国学者。本名は資芳。通称は庄右衛門。有賀長伯,武者小路実岳に和歌を学び,晩年には荷田春満に私淑した。歌人としては小沢蘆庵,西山澄月,慈延とともに「平安四天王」といわれていた。主著『国津文 (くにつふみ) 世々の跡』 (1774) ,『近世畸人伝』 (90) ,『閑田耕筆』 (99) ,『閑田次筆』 (1806) 。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「伴蒿蹊」の解説

伴蒿蹊 ばん-こうけい

1733-1806 江戸時代中期-後期の歌人,文章家。
享保(きょうほう)18年10月1日生まれ。近江(おうみ)八幡(滋賀県)の豪商。36歳で家督をゆずる。武者小路実岳(さねおか)にまなび,古今調の歌をよくした。歌集に「閑田詠草」など。和文にもすぐれ「近世畸人(きじん)伝」「国津文(くにつぶみ)世々の跡」などがある。文化3年7月25日死去。74歳。京都出身。名は資芳(すけよし)。別号に閑田子(かんでんし)。

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百科事典マイペディア 「伴蒿蹊」の意味・わかりやすい解説

伴蒿蹊【ばんこうけい】

江戸後期の国学者。名は資芳。別号閑田子。近江(おうみ)の人。京都で武者小路実岳(さねたか)に歌文を学ぶ。和歌に長じ,小沢蘆庵,澄月,慈延とともに平安四天王の一人。主著《閑田耕筆》《近世畸人伝》,家集《閑田詠草》など。

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367日誕生日大事典 「伴蒿蹊」の解説

伴蒿蹊 (ばんこうけい)

生年月日:1733年10月1日
江戸時代中期;後期の歌人;和文作者
1806年没

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世界大百科事典(旧版)内の伴蒿蹊の言及

【近世畸人伝】より

…近世後期の伝記。伴蒿蹊(ばんこうけい)著,三熊花顚(みくまかてん)画。続編は三熊花顚原著,蒿蹊加筆完成。…

※「伴蒿蹊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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