体制(読み)たいせい

精選版 日本国語大辞典 「体制」の意味・読み・例文・類語

たい‐せい【体制】

〘名〙
① (「体製」とも) 詩文様式。詩文の体裁
史記抄(1477)三「左伝も帝王年代をこそ編したれ。何書でまれ、史記よりさきに此体制にしたはないぞ」
即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉学校、えせ詩人、露肆「字法句法の軽捷なる、体制音調の流麗なる」 〔詩経疏‐周頌譜〕
② 物の組み立てられた状態。かたち。さま。なり。すがた。体裁(ていさい)。体状。
※新聞雑誌‐四〇号附録・明治五年(1872)四月「而建国の規模体制大且善なるを知るなり」
生物体の構造の基本形式器官配置様式、体の各部の分化状態、および相称などが主となる。〔訳書字類(1868)〕
④ 哲学で、各部分が目的に合うように有機的に連絡・統一された全体をいう。〔哲学字彙(1881)〕
⑤ 社会、政治や団体などの組織のしくみやなり立ち。また、ある一定原理に基づく秩序
※日本資本主義現段階矛盾恐慌(1930)〈野呂栄太郎〉「全資本主義体制の一切の矛盾の急速なる尖鋭化」
権力を持って、社会や政治を動かしている既存の秩序。また、その秩序を握る支配的勢力。「反体制
真空地帯(1952)〈野間宏〉四「ファシスト体制を顛覆させる一切の法律的政治的権限を」

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デジタル大辞泉 「体制」の意味・読み・例文・類語

たい‐せい【体制】

各部分が統一的に組織されて一つの全体を形づくっている状態。「経営の体制を立て直す」
社会が一定の原理によって組織だてられている状態。政治支配の形式。社会の仕組み。「資本主義体制」「幕藩体制
その時代の社会を支配する権力。「体制側」「反体制運動」
詩文の形式・体裁。
「字法句法の軽捷なる、―音調の流麗なる」〈鴎外訳・即興詩人
生物体の諸器官の配置や分化の状態などの、構造上の基本形式。ボディープラン。
[類語]組織体系構造制度造り組み立て骨組み仕組み成り立ち構成編成組成機構機序機制結構コンストラクションシステムメカニズム

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普及版 字通 「体制」の読み・字形・画数・意味

【体制】たいせい

詩文の構成。魏・康〔琴の賦の序〕、歌の象、世の才士、竝びに之れが賦を爲(つく)る。其の體制風、相ひ(つ)がざる(な)し。

字通「体」の項目を見る

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世界大百科事典 第2版 「体制」の意味・わかりやすい解説

たいせい【体制 body plan】

生物体の構造の基本的,一般的な形式のこと。生物体の構造には,系統分岐とともに生じた千態万様の多様性がある。それらの解析に基づいて生物界はまず菌,植物,動物の3界に分けられる。次にそれぞれの群をやや小さい群(門)に分け,さらにその各群をもっと小さい群(綱,目など)に順次に分けることができる。このようにして生物の種はピラミッド状の体系つまり分類体系に整理される。分類学はこうした解析の作業を中心として成り立っているが,ここで第1に着目されるのが種々の段階にある体制である。

たいせい【体制 régime[フランス]】

一定の地域や社会ないし組織において,行為者が長期にわたって従っている原則や規範,また行動のルールや政策決定の手続の総体をいう。体制は次の三つの側面からなっている。(1)あるシステムにおける権力の編成や配分を表示する役割の体系,すなわち権威(政府)を構成する役割構造である。(2)権力の使用に関する安定した期待や規範,すなわちシステムにおいて資源を配分し紛争を調整していくための規範ないし規則の体系である。

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百科事典マイペディア 「体制」の意味・わかりやすい解説

体制【たいせい】

社会制度を全体として構造的にとらえ,統一的に解釈するときにいう。旧体制(アンシャン・レジーム)・新体制,封建体制・資本主義体制・社会主義体制,独裁主義体制・民主主義体制あるいは天皇制などのように用いる。とくに政治権力を中心とする複合体としてみる場合に用いることが多い。支配者は体制のわく内で権力を握り体制維持を図るが,この状態を否定しようとする動きがいわゆる反体制運動である。

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