(読み)サク

デジタル大辞泉 「作」の意味・読み・例文・類語

さく【作】[漢字項目]

[音]サク(呉)(漢) (呉)(漢) [訓]つくる なす
学習漢字]2年
〈サク〉
工夫して物をこしらえる。「作詞作者作成作品工作試作製作創作
こしらえた物。作品。「遺作傑作拙作名作三部作
なす。行う。「作為作戦
農産物をつくる。また、その成果。「作物さくもつ間作耕作米作豊作
おこす。盛んにする。「作興さっこう振作
美作みまさか国。「作州
〈サ〉
なす。行う。振る舞い。「作業作法作用所作操作動作無造作
起こる。「発作ほっさ
[名のり]あり・つくり・とも・なお・なり・ふか
難読作麼生そもさん

さく【作】

作ること。また、作ったもの。文学・美術・音楽などの芸術作品についていうことが多い。作品。「会心」「狩野探幽障壁画
耕作すること。また、農作物のできぐあい。「今年の稲のは上々だ」「平年
技巧趣向。「に過ぎた俳句
[類語]作品作物

さ【作】[漢字項目]

さく

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精選版 日本国語大辞典 「作」の意味・読み・例文・類語

さく【作】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 作製すること。つくること。また、そのもの。こしらえ。作品。創作。また、人名の下につけてその人の作品であることを表わすのにも用いる。
    1. [初出の実例]「御製廿二首 〈略〉和左大将軍藤冬嗣河陽作」(出典:凌雲集(814))
    2. 「其代には朝夕念ずる弘法大師の御作(サク)の如来を済す迄預置べし」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)三)
  3. ( 形動 ) 趣向、くふう。思いつき。また、趣向や工夫を凝らしたさま。
    1. [初出の実例]「惣別茶湯に作をすると云は、第一会席、又は暁客を呼歟、押懸て行か、第二に道具厳様」(出典:山上宗二記(1588‐90))
    2. 「そこの句は作はあれども、すみへゆかず。かやうの所をよくたしなみてこそ、よき連歌師とはいへ」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)下)
  4. 耕作物。農作物。また、農作物のでき。作柄。
    1. [初出の実例]「コトシノ sacuga(サクガ) ヨイ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  5. 田畑を耕すこと。
    1. [初出の実例]「地蔵堂の前之畠事、能椿坊届候てさく仕候」(出典:北野天満宮目代日記‐明応九年(1500)六月一七日)
  6. 小作。小作人。作人。
    1. [初出の実例]「一、在家校合之当時分、壊屋欲免家輩、造意之趣、太以不然、地主作共可重科事」(出典:高野山文書‐応永一五年(1408)一〇月二七日・志富田庄在家支配帳等)

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普及版 字通 「作」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] サク・サ・ソ
[字訓] つくる・なす

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は乍(さく)。乍は作の初文。〔説文〕八上に「すなり」と作興の意とする。乍は木の枝を強く撓める形で、垣などを作る意。卜辞に「を乍(つく)る」「邑を乍る」のように、大きな土木工事をする意に用いる。金文に至っても「寶彝(はうそんい)を乍る」のように用い、また「乍邑」「乍」の語がある。また「乍鑄」「乍爲」より「厥(そ)の爪と乍(な)る」のようにひろく一般の制作・行為をいい、まだ作の字はみえない。〔周礼、秋官、柞氏〕は、柞薪を以て獣の陥穽を作ることを掌り、その中(せいちゆう)の逆木(さかぎ)を柞鄂(さくがく)という。木の枝を撓めてこれを作るもので、乍の初義を知ることができる。

[訓義]
1. つくる、木の枝をまげて垣などを作る。
2. ものをつくる、いとなむ。
3. おこす、なす、はじめる、たつ。
4. なる、いたす。
5. もちいる、はたらく。
6. その地位につかせる、任ずる。
7. 柞と通じ、たがやす、くさぎる。
8. 詐と通じ、いつわる。
9. 詛と通じ、のろう。
10. 鑿と通じ、うがつ。

[古辞書の訓]
名義抄〕作 ナル・ナス・ス・ツクル・オコス・ヲル・ユク・ヲサム・ヲフ・ヲヒタリ・キク・ヲツ・タリ・タラム・ノリ・スチ・タツ・ツカフ・タメニ・サクル・イタル・カハル・ハジム・ワザ・サク

[声系]
〔説文〕に作声として筰など二字を収める。筰は竹索。竹を撓めて垣などとする意であろう。

[語系]
作・做tzakは同声。做は近世以後に用いる字である。また(造)dzuk、就dziukも声義に通ずるところがある。は金文では舟(盤の形)と(告)に従う字。盤に神饌を盛り、祈ってことの成就を願う意。就は京形の建物、たとえば京観などの竣工にあたって犬牲を供し、その落成を祝う意。みな「つくる」「なす」とよむ字である。ものの制作・完成とその儀礼に関する字である。

[熟語]
作業・作悪・作意・作威・作為・作院・作・作詠・作・作家・作火・作歌・作画・作会・作害・作楽・作鄂・作・作活・作気・作亀・作偽・作儀・作戯・作客・作仇・作強・作嬌・作曲・作・作苦・作寓・作・作繭・作言・作故・作興・作穀・作材・作冊・作詩・作事・作辞・作者・作手・作主・作書・作証・作色・作新・作成・作声・作制・作勢・作戦・作践・作態・作獺・作竹・作田・作徒・作東・作頭・作・作闘・作難・作任・作念・作馬・作配・作陪・作伐・作範・作伴・作眉・作病・作品・作夫・作風・作服・作物・作文・作弊・作保・作法・作夢・作民・作務・作問・作勇・作俑・作養・作料・作力・作礼・作儷・作弄・作労・作論・作用・作
[下接語]
遺作・役作・仮作・佳作・家作・寡作・改作・怪作・偕作・合作・間作・贋作・奇作・器作・偽作・擬作・客作・旧作・居作・凶作・競作・近作・句作・愚作・偶作・下作・戯作・劇作・傑作・原作・工作・功作・巧作・好作・耕作・混作・試作・詩作・自作・実作・習作・述作・春作・聖作・製作・拙作・作・蚤作・創作・操作・造作・雑作・多作・駄作・大作・代作・単作・鋳作・著作・賃作・適作・天作・佃作・東作・盗作・動作・農作・半作・丕作・不作・風作・平作・兵作・米作・豊作・発作・凡作・万作・満作・名作・模作・妄作・乱作・濫作・力作・輪作・連作・労作

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「作」の意味・わかりやすい解説


さく

中国で手工業者とそのギルドのこと。手工業の分業過程を唐では作、作坊といい、官営工場に将作監(しょうさくかん)、八作司(はっさくし)があった。唐・宋(そう)の変革期に商業ギルドの行(こう)が自律性を増したのに応じて、こうした分業化した手工業組織も油作、木作、裁縫作、打紙作など手工業者ギルドをつくり、作分(さくぶん)といった。南宋(なんそう)では店舗を備えた手工業店舗組織のギルドも現れ、明(みん)末清(しん)初になると職人のみのギルドも生じた。しかしおおむね商人ギルドの下位に立った。

斯波義信

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デジタル大辞泉プラス 「作」の解説

三重県鈴鹿市の清水清三郎商店が製造・販売する日本酒の銘柄。「ざく」と読む。鈴鹿山脈伏流水と地元産の良質な米を使用し、華やかで香り高い味わいが特徴。2016年に開催された「G7伊勢志摩サミット」の乾杯酒に選ばれたことで有名になった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「作」の解説

作(さく)

中国の手工業者の組合。社会分業の著しく発達した唐宋以降,手工業者の業種別分業としての作が広く組織され,商人の同業組合(行(こう))に対立しつつ互助機能を果たした。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

盆栽用語集 「作」の解説

培養結果や仕上がり状態のこと。農作物と同じで、その年の天候・気象条件に大きく左右される。転じて「培養を続ける」意味もあり、「もう一作すれば良くなる」などと使われる。

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旺文社世界史事典 三訂版 「作」の解説


さく

中国の手工業者組合。工ともいう
宋以後の工業の発達につれ,行に対抗して業種ごとの組合,たとえば銀作(銀細工師組合)などが成立した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「作」の意味・わかりやすい解説


さく

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【ギルド】より

…この傾向は他の職種の集団がそれぞれ閉鎖的団体を形成するきっかけともなり,こうして中世都市特有のギルドが形成されてゆくことになる。 ギルドの組織についてはギルド規制があり,それはギルド自身が作成し,市当局によって承認されたものであった。ギルドの主要な機能に新加入者の決定がある。…

【行】より

両税法の施行と前後して,商工活動を県城レベル以上の,都市の一郭に限定して統制する原則がくずれ,都市内や近郊での営業の場所・時間が自由になったばかりか,農村におびただしく発生した半都市(鎮)や村市でも商工活動は活発になった。新興の商工業者は相互の競争を調整し,価格や品質を規制し,対官折衝や相互扶助に便をはかるため,業種別に集居し,共同の祭神を祭りつつ行(商店)や作(手工業者)とよばれる商工組合をつくった。両税法の下で,実質的な都市税に当たる科配(臨時の徴発),雑買(官庁用度の買上げ),行役(行の徭役)が課されると,中級以上の行は政府に登録されて当行(とうこう)ないし行戸祗応(こうこしおう)とよばれる御用達の対象となり,その代りに営業独占の特権を認められた。…

【坊郭戸】より

…屋税・地税など城郭の賦のほか,官庁の必要物資を調達する科配,王安石の新法による免行銭や助役銭を負担した。州県城郭内の商業地域に実施されていた坊制()が宋に入って崩壊し,営業上の地域・時間の制約がなくなると,商工業者は同業商人組合〈(こう)〉や職人組合〈作〉を組織した。【柳田 節子】。…

※「作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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