精選版 日本国語大辞典 「作物」の意味・読み・例文・類語
さく‐もつ【作物】
さく‐もの【作物】
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農業に利用するために、人が繁殖と生育を保護・管理する植物。たとえばイネは、農業生産物である米をとるために、水田を耕し、種(たね)を播(ま)き、苗を移植し、収穫までの期間、保護・管理する作物である。ところが東南アジアの一部の地域においては、湿原に野生するイネからその子実を採集して食用としており、この場合は作物とはいえない。このように、作物とは、ある特定の種(しゅ)の植物をさすのではなく、農業に供せられる場合に限って作物とよびうる。
いまから約1万年前、それまで狩猟中心の移動生活をしていた人類が、ある程度定住生活をするようになり、それがきっかけで農業を始めたといわれるが、農耕と同時に作物は誕生した。農耕文化が発達するにつれて作物の種類は増え、それらは農業生産を高めるように改良され、また原産地から世界各地へと伝播(でんぱ)された。
現在、作物は全世界に約2300種余りあるといわれ、そのうち日本で栽培される作物は約500種ほどである。作物は、その栽培方法や商品価値、利用目的、利用部分、植物学的分類などを総合的に判断して分類されている。一般的分類によると、作物は農作物と園芸作物とに大別される。農作物は比較的粗放な栽培管理に耐え、まとまった量を生産できる。一方、園芸作物は精度の高い栽培管理を必要とし、1個体当りの商品価値が比較的高い。農作物は利用目的により、食用作物、工芸作物、飼料作物、緑肥作物に分けられる。
食用作物とはイネやムギ類、ダイズなどの穀物やサツマイモ、ジャガイモなどのいも類などで、主食をはじめ人間生活のエネルギー源となる作物である。工芸作物とは工業や工芸の原料とするための作物である。用途によって、デンプンおよび糊料(こりょう)作物(サツマイモ、コンニャクなど)、糖料作物(サトウキビ、テンサイなど)、油蝋(ゆろう)料作物(ダイズ、ラッカセイ、ベニバナ、アブラヤシなど)、芳香油料作物(バニラ、ラベンダー、ジャスミンなど)、香辛料作物(コショウ、シナモン、ワサビなど)、嗜好(しこう)料作物(チャ、コーヒー、タバコなど)、繊維料作物(ワタ、アサ、イグサ、コウゾなど)、ゴムおよび樹脂料作物(パラゴム、パナマゴム、ウルシなど)、タンニン料作物(ワトル、カキなど)、染料作物(アイ、ベニバナなど)、薬料作物(チョウセンニンジン、オウレン、ホップなど)などに細分される。飼料作物とは家畜や家禽(かきん)の餌(えさ)とする作物で、トウモロコシやソルガム、オーチャードグラス、イタリアンライグラス、アルファルファ、レッドクローバーなど種類が多い。また、緑肥作物とはレンゲソウなどのような田畑にすき込んで肥料とする作物をさす。
園芸作物は野菜、果樹、観賞作物に区分される。野菜は利用部分によって、果菜類(キュウリ、ナス、ソラマメなど)、花菜類(カリフラワー、アーティチョークなど)、茎菜類(アスパラガス、ウド、コールラビーなど)、葉菜類(キャベツ、コマツナ、ホウレンソウなど)、根菜類(ダイコン、ニンジン、ハスなど)に分ける。果樹はおもに木本植物の果実を食用とするもので、リンゴ、ナシ、モモ、ミカン類、ブドウなどがある。また、クリやアーモンドなどのナッツ類も果実に含まれる。観賞作物とは、花や葉などを観賞用に供するために栽培するもので、キクやラン、シダ植物など多くの種類がある。
[星川清親]
特定の作物を栽培することを忌む風習。農作物にはそれを育成する神々の信仰がある。稲作には田の神を迎えて祭る儀礼が全国的にみられる。種播(たねま)きから収穫まで田の水口(みなくち)に田の神を祀(まつ)って供え物をする。このことは田植唄(うた)の歌詞にも歌われている。農作物の作業に関していろいろな禁忌俗信が言い習わされている。農作業について日の吉凶ということがある。稲作にはこれがきわめて多く播種(はしゅ)から収穫まで「よくない」という日が多い。苗月、苗厄という日があり、この日は苗をとらぬとか、田植をしないとかいう。畑作については稲作ほど「よくない」日というのは少ないが、四菜九菜(しなくな)といって月の4日と9日には菜を播かない。4月には死牛蒡(しごぼう)といってゴボウをつくらない。畑作物には稲作と違って家または村で、ある種の作物をつくらぬとか食べないという禁忌がある。福島県ではこれを家例(かれい)といっている。この種の作物ではモロコシ、トウモロコシ、キュウリ、カボチャなどがある。その理由として、たとえばモロコシならば、家の先祖が戦いに敗れて逃げたとき、モロコシ畑で敵に殺されたから、などと言い伝えている。また村で禁忌としている場合は、たとえば天王(てんのう)様を氏神としている土地でキュウリを食べないのは、それを輪切りにしたものが氏神の紋所に類似しているから、といったたぐいである。
[大藤時彦]
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…また,元禄期に上方の座敷浄瑠璃として行われた半太夫節なども地歌に吸収され,地歌で独自に作られた〈繁太夫物〉〈半太夫物〉もある。座興的に作られたもので,詞章の固定性の薄いものは,宝暦ころからとくに〈作物(さくもの)〉と呼ばれ,結果として滑稽な内容のものが多い。 現在は京都,大阪とも,盲人音楽家たちの子孫が伝承を伝えているが,箏曲家を兼ねる。…
※「作物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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