便宜(読み)ベンギ

デジタル大辞泉 「便宜」の意味・読み・例文・類語

べん‐ぎ【便宜】

ある目的や必要なものにとって好都合なこと。便利がよいこと。「資金調達便宜を得る」
特別なはからい。そのときに適したやり方。「便宜をはかる」「便宜上、代行を置く」
音信。たより。
「娘方より便りあらず、其方の方へは―ありしや」〈浮・曲三味線・六〉
[類語]好都合便利利便あつらえ向きタイムリー渡りに船有り難いうれしいおんの字重宝ちょうほう有用有益簡便軽便至便もってこい格好頃合ころあ打って付けぴったり好個好適適する適う適える合う沿うそぐう向く似合う似つかわしいふさわしいしっくり当てはまる適合する適当する合致する即応する同調するフィットする程よい絶好願ったり叶ったり願ってもない相応しか即する肌が合う適格適材くみし易いしかるべきマッチ究竟くっきょう合い口合目的文句無しリーズナブル好条件見合う匹敵言い得て妙あたかもよし三拍子そろ似合わしいジャストミート思いがけない当を得る馬が合う息が合う順当どんぴしゃり所を得る最適つぼにはまる水を得たうおのよう結構尽くめ

びん‐ぎ【便宜】

[名・形動]
都合のよいこと。また、そのさま。好都合。べんぎ。
「―ノ地デ買ッテクダサレ」〈和英語林集成
よい機会。好機。ついで。べんぎ。
「おのづから―ありて助くべからん事あらん時は」〈今昔・二七・四〇〉
たより。音信。べんぎ。
勝様からは―もなし」〈浄・淀鯉

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精選版 日本国語大辞典 「便宜」の意味・読み・例文・類語

べん‐ぎ【便宜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) つごうのよいこと。便利なこと。また、そのようなときやそのようなさま。びんぎ。
    1. [初出の実例]「平生侍童厭老痴、逡巡旋退占便宜」(出典:六如庵詩鈔‐二編(1797)二・所養払菻狗一旦失之踰年復還感紀其事)
    2. 「彼の造物主は我が日本人民を配置するに尤も便宜なる中帯の地を与へたり」(出典:将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉一一)
    3. [その他の文献]〔史記‐蕭相国世家〕
  3. たより。音信。びんぎ。
    1. [初出の実例]「娘方より便りあらず、其方の方へは便宜(ベンギ)ありしや」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)六)
  4. その場その場に適応した処置。また、特別のはからい。
    1. [初出の実例]「患者の委託についてさまざまな便宜をはかってくれたばかりでなく」(出典:死霊‐一章(1946‐48)〈埴谷雄高〉)

びん‐ぎ【便宜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. つごうのよいこと。たよりのよいこと。好都合。また、そのおり。ついで。べんぎ。
    1. [初出の実例]「更量用銭之便宜。欲百姓之潤利」(出典:続日本紀‐養老六年(722)二月戊戌)
    2. 「いかに、その部屋はあくやと、いみじくなん。なほびんぎあらば告げられよ」(出典:落窪物語(10C後)一)
    3. 「思ひ思ひに便宜(ビンギ)の国へ立退(のく)支度をしたりし中に」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)一)
  3. 状況を伝える手紙や情報。たより。おとずれ。べんぎ。
    1. [初出の実例]「従播州都多村便宜有之、わた一把、漆二合子、中折一束上候了」(出典:言継卿記‐天文元年(1532)正月三〇日)
    2. 「きづかひなれど内かたのしゅびを知らねばびんぎもならず」(出典:浄瑠璃・曾根崎心中(1703))

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普及版 字通 「便宜」の読み・字形・画数・意味

【便宜】べんぎ

勝手よし。

字通「便」の項目を見る

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とっさの日本語便利帳 「便宜」の解説

便宜

日本では手軽で都合がいいこと。中国では値段が安いこと。

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