促成栽培(読み)そくせいさいばい

精選版 日本国語大辞典 「促成栽培」の意味・読み・例文・類語

そくせい‐さいばい【促成栽培】

〘名〙 果樹野菜、花等を温室ビニールハウスフレーム等で普通よりも早く発育させる栽培法。〔新しい言葉の泉(1928)〕

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デジタル大辞泉 「促成栽培」の意味・読み・例文・類語

そくせい‐さいばい【促成栽培】

[名](スル)収穫時期を早める目的で、温室や温床で栽培すること。「キュウリ促成栽培する」→抑制栽培

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「促成栽培」の意味・わかりやすい解説

促成栽培
そくせいさいばい

野菜や花卉(かき)などの栽培方法(作型)の一つ。普通の栽培時期よりも早く栽培を開始し、早く収穫して出荷することを目的とする。旬(しゅん)より早いので有利に取引され収入が多く得られるためである。播種(はしゅ)期が自然より早いので、加温あるいは保温した苗床に播種して育苗し、温室、ガラス室、ビニルハウス、ビニルトンネルなどの保温施設に定植し、その施設内で収穫まで育てる。生育の途中で被覆を除いて露地状態で育てる場合を半促成栽培といい、普通の促成栽培より収穫・出荷期がやや遅くなる。

 促成栽培は日本ではすでに江戸時代から始められたといわれるが、本格的には近年になって発達した。ウドなどを旬より早く出荷するための促成栽培は早くから行われ、またイチゴの促成栽培も歴史が古い。現在では周年栽培の一環として、出荷期を定めた計画的な促成栽培が、キュウリ、メロン、カボチャスイカ、トマト、ナス、ピーマンインゲンマメエンドウホウレンソウシュンギクなどきわめて多くの野菜やシクラメンなど花卉類について、各地で行われている。促成栽培にとっては、冬季に晴天が多く温暖な地域、すなわち東海道、四国、南九州などの太平洋岸が適するが、とくに大都市や温泉場など消費地の近郊地帯が地の利を得て早くから促成栽培が行われた。いまでは交通機関の発達により消費地に遠い土地にも普及し、それらは集団的な促成園芸地帯を形成していることが多い。

[星川清親]

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百科事典マイペディア 「促成栽培」の意味・わかりやすい解説

促成栽培【そくせいさいばい】

野菜および花などを温室,温床,ビニルハウスなどの施設を用いて露地栽培よりも早く収穫する栽培法。早まきし,冬から春にかけての低温期に人工的に温度・日長処理を行って生育を促進する。資本と技術を要するが収益性も高い。
→関連項目近郊農業抑制栽培

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世界大百科事典 第2版 「促成栽培」の意味・わかりやすい解説

そくせいさいばい【促成栽培 forcing culture】

野菜や花などを普通よりも早く生産するための栽培法。早出しの程度によって,促成栽培,半促成栽培,早熟栽培に分けることもある。この場合の促成栽培とは全生育期間をハウス内で栽培することをいい,半促成とは生育の後半にハウスの被覆をとって露地で栽培することをいう。また,早熟栽培とは温床で育苗した苗を畑に定植して露地で栽培することをいう(定植後しばらくトンネルで保温するものも早熟栽培に含める)。このように,促成栽培ではハウス,トンネル,温床などを利用し,生育に好適な温度条件を与えて収穫期を早めるのが普通である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「促成栽培」の意味・わかりやすい解説

促成栽培
そくせいさいばい
forcing culture

作物の収穫期を早める栽培方法。一般に園芸作物を温室,温床などを使用して加温,保温して行われる。収穫期を早めることによって市場での経済性を高めることを目的としたもので,気候の温暖な地方や都市近郊に発達する。最近は安価で取扱いの容易なビニルハウスの普及によって各地に普及してきた。主作物はいちご,きゅうり,トマト,カーネーションなど。

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