俳諧歌(読み)ハイカイカ

デジタル大辞泉 「俳諧歌」の意味・読み・例文・類語

はいかい‐か【俳諧歌】

和歌一体用語または内容にこっけい味のある歌。古今集巻19に多くみえる。ざれごとうた。はいかいうた。→狂歌

はいかい‐うた【俳諧歌】

はいかいか(俳諧歌)

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精選版 日本国語大辞典 「俳諧歌」の意味・読み・例文・類語

はいかい‐か【俳諧歌・誹諧歌】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 和歌の一体。用語または内容に滑稽味を帯びた歌。「万葉集」の戯咲歌の系統を引き、「古今集」の雑体のうちの部立てに立てられて以後勅撰和歌集にしばしば見えるようになった。
    1. [初出の実例]「誹諧哥」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体)
  3. 俳諧の精神によってよむ歌。
    1. [初出の実例]「俳諧を以て文をかくは俳諧文也。歌を詠は俳諧歌也」(出典:俳諧・去来抄(1702‐04)修行)
  4. 狂歌のこと。特に、鹿都部真顔が狂歌の地位を向上するために用いた名称。

はいかい‐うた【俳諧歌】

  1. 〘 名詞 〙はいかいか(俳諧歌)〔書言字考節用集(1717)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「俳諧歌」の意味・わかりやすい解説

俳諧歌 (はいかいか)

俳諧的つまり滑稽(こつけい)な性質をもつ和歌のこと。《古今集》巻十九に〈誹諧歌〉の部立(ぶだて)があって58首を収めるのが名称の始まりであるが,中国の詩に用いられた用語に由来する。滑稽な歌はすでに《万葉集》巻十六にも戯笑歌,嗤笑歌(ししようか)などがあり,その系統に属する歌である。《古今集》の〈梅の花見にこそ来つれ鶯のひとくひとくと厭(いと)ひしも居る〉は梅の花(女)と鶯(男)とが会っているところへ第三者がやってきたのを鶯が〈人来(ひとく)人来(ひとく)〉と鳴いて厭うという趣向であり,〈山吹の花色衣主(ぬし)や誰問へど答へずくちなしにして〉は山吹色の衣の持主を問うが答えない,クチナシ色(黄色)の口無しなので,と懸詞(かけことば)の興味を骨子としたものである。多くは懸詞,縁語,俗語,擬人法などを用いて滑稽味を出そうとする。後世勅撰集のいくつかや近世の私家集にも継承されていくが,文学史的には連歌,俳諧,狂歌などの源流となった点に意義がある。
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世界大百科事典(旧版)内の俳諧歌の言及

【鹿都部真顔】より

…本名は北川嘉兵衛。別号は狂歌堂,四方歌垣(よものうたがき),俳諧歌場。数寄屋橋外の汁粉屋で,はじめは恋川好町(すきまち)の名で黄表紙作者。…

【俳諧】より

…漢詩,和歌,連歌,俳諧等の用語。〈誹諧〉とも書くが,〈俳諧〉のほうが一般的である。俳諧はもと中国で滑稽とほぼ同じ意味に用いられた言葉で,機知的言辞が即興的にとめどもなく口をついて出てくることをいう。現在残っている作品はそう多くはないが,中国の詩に詼諧体,俳諧体というのがあった。日本文学で俳諧(誹諧)という言葉が用いられるようになったのは10世紀初頭のころからで,《古今和歌集》巻十九〈雑体〉の部に〈秋の野になまめきたてる女郎花あなかしがまし花もひと時〉(僧正遍昭)以下58首の〈誹諧歌〉が収められている。…

※「俳諧歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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