傍ら(読み)カタワラ

デジタル大辞泉 「傍ら」の意味・読み・例文・類語

かた‐わら〔‐はら〕【傍ら/×旁/側】

[名]
そば。すぐ近く。「―のいすに腰かける」
(「…のかたわら」の形で)端に寄った所。「道の―にたたずむ」
(接続助詞的に用いて)主となることをする一方合間に。「学校に通う―家業を手伝う」
側面。物の脇。
「頭ごとにおのおの石松いはまつあり、ふたつの―に山あり」〈神代紀・上〉
[副]あることをする一方では。その合間に。「会社に勤めて、―小説を書く」
[類語]1手近い程近い近い間近い間近じきすぐ至近近く目前鼻先手が届く指呼しこ咫尺しせき目睫もくしょうかん目と鼻の先そば近辺付近はた足元手元片脇片方かたえとなり横手横合い手近卑近身辺わき近傍近所最寄り座右左右手回り身の回り近間界隈かいわい近回りそのへん四隣しりん隣組向こう三軒両隣りょうどなりまのあたり目睫もくしょう面前目の前眼前現前目先鼻面はなづら鼻っつら前面正面真ん前手前先方直前ついでにちなみになお念のためついで手ついでがてらかたがた道すがら道中道道みちみち途中途上途次中途行き掛け路次道草通りすがり通り掛かり通り掛け行きずり行き掛かり帰りしな帰りぎわ帰り掛け帰るさ寄り道半ば

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「傍ら」の意味・読み・例文・類語

かた‐わら‥はら【傍・旁・側・脇】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 物の横側。物の脇。
      1. [初出の実例]「彼の大虵、頭毎に各の石松(いはほまつ)有り。両の脇(カタハラ)に山有(な)れり」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
    2. 物や人のそば近くの所。何かに近接した所。
      1. [初出の実例]「宮のつい並び給へば、花のかたはらのときは木のやうに見え給ふこそ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
      2. 「この家のかたはらに、檜垣(ひがき)といふものあたらしうして」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
    3. そばにいる人。まわりの人。
      1. [初出の実例]「色めかしくあだあだしけれど、本性(ほんじゃう)の、人から癖なく、かたはらのため見えにくきさませずだになりぬれば」(出典:紫式部日記(1010頃か)消息文)
    4. 何かの、はしに片よった所。通路や道路などのはし。道わき。みちばた。
      1. [初出の実例]「わがのぼるは、いとあやふくおぼえて、かたはらに寄りて、高欄おさへなどして行くものを」(出典:枕草子(10C終)一二〇)
    5. 都市などの中心から離れたへんぴな所。人目につかないような片隅の場所。片田舎
      1. [初出の実例]「義朝の少(おさな)い人々の候ふを、取りいだされ失はるべしと承り、かたはらにしのびて候ひつれども」(出典:金刀比羅本平治(1220頃か)下)
      2. 「これはこの国の傍に住む白拍子にて候」(出典:謡曲・道成寺(1516頃))
    6. 動詞の連体形格助詞「の」の下に付いて、形式名詞的に用いられ、「あることをしながら、それと並行して」の意を表わす。その一方。
      1. [初出の実例]「母一人にて紙を商ふ傍らに小銭など両替して生業とせり」(出典:小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉五)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( [ 一 ]の転じたもの ) あることをしながら、その一方では。かたがた。
    1. [初出の実例]「逃亡の策を考へ、側(カタハ)ら両賊の談を聞く」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二六)

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