備える(読み)ソナエル

デジタル大辞泉 「備える」の意味・読み・例文・類語

そな・える〔そなへる〕【備える/具える】

[動ア下一][文]そな・ふ[ハ下二]
ある事態が起こったときにうろたえないように、また、これから先に起こる事態に対応できるように準備しておく。心構えをしておく。「万一に―・える」「地震に―・える」「試験に―・えて夜遅くまで勉強する」
必要なときにいつでも使えるように、前もって整えておく。設備装置を用意しておく。「各室に空調設備が―・えてある」「応接セットを―・える」
必要なものを、どこも足りないところがないように持っている。具備する。「資格を―・える」「あらゆる条件を―・えている」
生まれたときから自分のものとしてもっている。身につけている。「人徳を―・えている」
[類語](1準備する用意する支度したく備え設け手配手配り手回し手筈てはず手当て段取りぜん立て道具立て下拵したごしら下準備態勢整備/(2備え付けるしつらえる設ける設備する設置する装備する装置する完備する常備兼備予備/(3)(4有する具備する具有する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「備える」の意味・読み・例文・類語

そな・えるそなへる【備・具・供】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]そな・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
  2. 物・状態・条件などをそろえととのえる。それらを具備させる。用意する。
    1. [初出の実例]「私(ひそか)に兵(つはもの)を備(そなフ)と聞こしめして」(出典:続日本紀‐天平宝字元年(757)七月二日・宣命)
    2. 「ありつる魚(いを)は、魚とみつれど、百味をそなへたる飲食になりぬ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  3. 身につける。自分のものとする。
    1. [初出の実例]「旦主為性(ひととなり)仏心を具(ソナ)へて深く世網を厭む」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
  4. ( 「…にそなえる」の形で ) その地位につける。すえる。
    1. [初出の実例]「今は疑ふ所無く程嬰に心を許し、一の大臣にそなへ給ふこそ御運の極とぞ覚えける」(出典:寛永版曾我物語(南北朝頃)一)
  5. ( 供 ) 神仏や貴人に、物を調えてさしあげる。
    1. [初出の実例]「何(いか)にしてか如法の大御供養を備(ソナヘ)儲けて」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
  6. ( 「…にそなえる」の形で、相手の動作をさして ) その用にたてる。供する。
    1. [初出の実例]「狆の子一疋を携へて御覧に供へる」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)

備えるの補助注記

室町時代頃からヤ行にも活用した。→そなゆ(備)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android