債権をその同一性を変えずに移転する契約。債権を一個の財産として取引の客体とするものであり(債権は原則として譲渡性を有する。民法466条1項本文)、現在の取引界においてきわめて重要な機能を営んでいる。債権譲渡は、債権者(譲渡人)と譲受人との間の契約によって成立し、債務者の意思関与を必要としない。しかし、譲渡を債務者その他の第三者に対抗するためには、指名債権の場合には、債務者に対する通知またはその者の承諾(同法467条1項)(指図債権の場合には、証券の裏書交付〈同法469条〉、無記名債権の場合には交付〈同法86条3項・178条〉)が必要である。この際、譲渡人が通知をしたにとどまるときは、債務者は通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由(たとえば、通知を受けるまでに譲渡人に弁済したなど)を譲受人に対抗できる(同法468条2項)が、債務者が異議をとどめない承諾をしたときには、債務者は譲渡人に対抗することができた事由があっても、これを譲受人に対抗できない(同法468条1項)。次に債権譲渡を債務者以外の第三者に対抗するためには、確定日付のある証書(たとえば、内容証明郵便とか公正証書)で通知・承諾をすることが必要である。だから、たとえば債権の二重譲渡の場合には、確定日付のある証書でしたほうが勝ち、両方確定日付のある証書でなされた場合には、日付の早いほうが勝つ。
[淡路剛久]
日本の国際私法典である「法の適用に関する通則法」(平成18年法律第78号)には、債権譲渡の債務者および第三者に対する効力は、譲渡に係る債権(譲渡対象債権)の準拠法によるという定めだけが置かれている(同法23条)。
債権譲渡の債務者および第三者に対する効力以外の問題については明文の規定はなく、解釈に委ねられており、一般に、債権の譲渡性、譲渡禁止特約の効力などは譲渡対象債権の準拠法により、他方、譲渡人と譲受人との間の譲渡契約そのものの成立・効力はその譲渡契約自体の準拠法によるとされている。なお、債権譲渡に類似している債権質の債務者および第三者に対する効力についても、質権の対象となっている債権の準拠法によるとされている。
[道垣内正人 2016年5月19日]
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…多くは請求,催告のような文書作成者の一方的意思表示を相手方に伝達するときに用いられる。債権譲渡がなされたときに,旧債権者が債務者に対して行う債権譲渡の通知または債務者が新債権者もしくは旧債権者に対して行う債権譲渡に対する承諾は,いずれも確定日付ある文書によってなされないと法律上不安定な効力しか有しないことがある(民法467条2項)。このため債権譲渡に関する通知・承諾の方法として内容証明郵便による確定日付が多く用いられる。…
※「債権譲渡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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