(読み)キズ

デジタル大辞泉 「傷」の意味・読み・例文・類語

きず【傷/×疵/×瑕】

切る、打つ、突くなどして、皮膚や筋肉が裂けたり破れたりした部分。「深い―を負う」
物の表面の裂け目や、欠けたりした部分。「レンズに―がつく」
人の行為・性質・容貌ようぼうなどや物事の不完全な部分。好ましくない点。欠点。「怒りやすいのが玉に―」
不名誉なこと。恥ずべきこと。汚点。「経歴に―がつく」
心などに受けた痛手。「失恋の―をいやす」
[下接語]後ろ傷打ち傷かすり傷刀傷み傷切り傷刺し傷り傷たま突き傷手傷なま古傷無傷向こう傷矢傷山傷やり
[類語](1怪我手傷生傷古傷向こう傷傷病/(3難点欠陥短所くせ遜色弱点欠点盲点瑕疵かし瑕瑾かきんあら弱み泣き所負い目引け目付け目デメリットウイークポイントハンディキャップ

しょう【傷】[漢字項目]

[音]ショウ(シャウ)(呉)(漢) [訓]きず いたむ いためる
学習漢字]6年
ショウ
きず。けが。「傷病外傷軽傷死傷重傷創傷凍傷負傷
きずをつける。そこなう。「傷害殺傷食傷損傷中傷刃傷にんじょう
心をいためる。つらく思う。「傷心哀傷感傷愁傷悲傷
〈きず〉「傷口手傷生傷古傷
[難読]火傷やけど

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精選版 日本国語大辞典 「傷」の意味・読み・例文・類語

きず【傷・疵・瑕・創】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 皮膚や筋肉の、裂けたり破れたりした所。
    1. [初出の実例]「いとのきて 痛き瘡(きず)には 鹹塩(からしほ)を 灌(そそ)くちふが如く」(出典:万葉集(8C後)五・八九七)
    2. 「灼然く過無きを慇に探り、毛を吹きて疵(キズ)をば求む可からず。〈真福寺本訓釈 疵 キスヲハ〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
  3. 物の一部が欠けたり、裂け目ができたりした所。われ目。さけ目。
    1. [初出の実例]「鏡を以て其の石窟に入(い)れしかば、戸に触(つきふ)れて小瑕(こキス)つけり。其の瑕(キス)、今に猶存(うせす)」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
    2. 「仏造らせ給はむとて〈略〉割るに、いささかなるきずつかず」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)
  4. 人の行為、容貌、性質などの不完全な所。欠点。
    1. [初出の実例]「此の宮たちを、そこばくきずかたはなくおほしたてまつり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
    2. 「顔も顴骨(くゎんこつ)が稍出張ってゐるのが疵であるが」(出典:ぢいさんばあさん(1915)〈森鴎外〉)
  5. 他から非難されるべき点。欠点。難点。
    1. [初出の実例]「松の清節万木にすぐれたれども、無道第一なる始皇の封を受たる事がきずにてあるぞ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)
  6. 恥。不名誉。また、つけられた好ましくない跡。汚点。
    1. [初出の実例]「射損じ候(さうらひ)なば、ながきみかたの御きすにて候べし」(出典:平家物語(13C前)一一)
    2. 「かけ換へのないものに取返しの付かぬ汚点(キズ)が付く」(出典:疑惑(1913)〈近松秋江〉)
  7. 心などに受けた痛手。打撃。
    1. [初出の実例]「初恋の傷痍(きず)の恐ろしさといふ事は」(出典:野の花(1901)〈田山花袋〉九)
  8. 女陰をいう。たちきず。

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改訂新版 世界大百科事典 「傷」の意味・わかりやすい解説

傷 (きず)

生体に外力が作用したとき,生体組織に直接障害の生ずることがある。これが損傷injuryといわれるものであるが,損傷を医学的に定義づければ,外力によって生体組織本来の連続性が断たれた状態ということになる。損傷には体表から見える開放性損傷と,体表からは見えない非開放性損傷がある。後者は閉鎖性損傷または皮下損傷ともいい,表在性の打撲傷のみならず,体深部の筋肉や血管,臓器の損傷など,皮下のすべての損傷を含む。損傷の原因となる外力には,(1)刃物,鈍器,銃器,車輪などの機械的なもののほかに,(2)酸,アルカリ,毒ガスなどの化学的なもの,(3)温熱,寒冷の熱的なもの(やけど凍傷),(4)電流(電撃傷),(5)日光,紫外線,(6)放射線(放射線障害)などがある。これらのうちで最も多く経験されるのは機械的な外力による損傷(機械的損傷)であり,この機械的損傷が外傷traumaや創傷wound,あるいは〈きず〉〈けが〉にほぼ相当する。外傷も創傷も,損傷の開放性,非開放性のいかんを問わず用いられるが,創傷の場合,〈創〉の1字だけだと開放性機械的損傷(たとえば切創,刺創,射創など)を,〈傷〉の1字だけだと非開放性機械的損傷(たとえば打撲傷など)を意味する。もちろん,この二つは必ずしも明確に区別されているわけではない。一方,外傷のほうは,traumaという言葉の中に〈心理的外傷〉をも含みうることからうかがえるように,創傷という言葉がその由来から具体的な内容をもち限定的であるのに比べて,むしろ抽象的かつ包括的であるということができるであろう。また〈きず〉〈けが〉はわれわれが日常よく使う言葉であるが,これらは機械的損傷のなかでも,とりわけ開放性のものを指すことが多い。

 傷(外傷)のおもな症状は出血と痛みであるが,その程度は傷の部位,種類,大きさにより異なる。治癒過程には一次治癒と二次治癒の2種類がある。一次治癒は口を開けた創縁が再び相接して癒合する治癒過程であり,二次治癒は肉芽組織が増殖して損傷部を埋める形の治癒過程で,異物が傷面に介在したり,感染が起こったりして一次治癒が妨げられた場合にみられる。傷の治療は原則的には一次治癒を期して縫合するが,汚染創は開放したまま二次治癒を待つ。予後は傷の部位,大きさのほか,化膿菌,破傷風菌ジフテリア菌結核菌などの感染の有無にも大きく左右される。
執筆者:

医学の歴史は外傷の治療から始まったといえるほど,古くから外傷の治療法は記録されており,ヒッポクラテス(紀元前5世紀)以前にさかのぼることができる。その後,外傷の治療は大災害や戦争のたびに進歩し,近代では消毒法,麻酔法,輸液法などが確立され,さらに抗生物質の発見があり,二つの世界大戦,朝鮮戦争,ベトナム戦争などを契機にして飛躍的な進歩を遂げた。

 外傷を受けた生体の反応には局所における反応と受傷による全身の反応とがあり,それらに対する治療法をも包含した外傷学traumatologyが確立している。

(1)局所反応 局所における反応とは損傷部の生体反応のことで,特殊な阻害因子がないかぎり,受傷直後から修復が始まる。表皮,粘膜,末梢神経,骨,肝臓などの限られた臓器組織では,損傷された部分と同じ働きをもつ組織によって修復され(再生),その他の臓器組織では,損傷された部分の働きより劣った働きしかできない組織によって修復される(瘢痕(はんこん)治癒)。修復過程を遅らせる因子には,損傷部自体の問題と全身的な問題とがある。前者には,傷内に存在する異物,感染の併発,圧迫などによる血流の障害などがあり,後者には,背景に低栄養状態や低酸素血症,ビタミン欠乏症,糖尿病,心臓病,腎臓病などの全身性疾患が存在したり,副腎皮質ホルモン,抗腫瘍剤の投与や放射線照射などを受けている状態の場合がある。

(2)ショック 外傷に対する全身の反応のうち,おもなものは外傷性ショックである。ショックとは,端的にいうと血液の循環状態が悪くなることであり,その原因はさまざまである。すなわち,出血によって血液が減少したり,循環の動力ポンプである心臓の働きが鈍ったり,血管が広がってその部分に血液がよどみ,相対的に全身の血液が少ない状態になったりするとショックとなる。外傷を受けた直後の精神的・神経的打撃によって起こるショックは一次ショックと呼ばれ,多くは一時的である。これに対して,引き続き起こる二次ショックは血液循環が悪くなることによって起こる各臓器組織の機能低下であり,生命維持機構の破綻(はたん)につながる。したがって二次ショックの予防と治療は,外傷学の大きな部分を占める。と同時に,この研究は外科領域の治療学の進歩にも大きく貢献している。なぜなら手術もまた,生体に加えられる外傷にほかならないからである。
ショック

外傷は外力の加わった状態や外力が加わった部位,外力の種類によって分類される。すなわち,外力の加わった状態による分類には分娩外傷,交通外傷,戦争外傷などがあり,いずれも特殊な状況下での受傷であるために,医療のみならず社会的な対処のしかたも異なる。また外力が加わった部位による分類には頭部外傷,胸部外傷,腹部外傷,骨盤部外傷,四肢の外傷などがあり,障害される臓器が異なるため,治療法も異なる。二つ以上の部位が同時に損傷されることも多い。外力の種類による分類には,刃物による切創,先端の鋭利な器物による刺創,強い鈍力によって生ずる挫創,人や動物の歯による咬傷,斧などによる割創,銃器による射創などがある。次におもな外傷,とくに法医学の面で重視される外傷について詳述する。
執筆者:

鋭利な刃物やガラス・陶器の破片などを皮膚に接したまま引切りしたときにできる創傷。創縁は直線状で表皮剝脱(はくだつ)を伴わない。創面は平滑。創口の大きい割に深さは浅い。一時出血は激しいが,大きな血管を切っていないかぎり,危険度は小さい。

針,釘,錐(きり),小刀,槍など尖鋭なもので刺したときに生ずる創傷。一般に刺入口の小さいのに比べて刺創管の深いのが特徴的で,貫通した場合には刺出口がみられる。したがって,胸部や腹部の刺創では内部臓器や大血管を損傷して,多量の出血を起こすことがしばしばあり,胃や腸管を穿孔(せんこう)して化膿性腹膜炎をひき起こすこともある。

日本刀,斧,鉈(なた)のような比較的重量のある刃器を打ち下ろしたときに生ずる創傷。日本刀のような鋭利なものは切創と同様の性状を有するが,斧のような重く鈍なものは切創に似ているが,挫創の性状も有する。創縁・創面は切創のように整鋭・平滑ではなく多少不整である。創縁に表皮剝脱を伴うことも切創と異なる。皮膚に対して垂直に打ち下ろしたときには,その断面はくさび形であるが,切線方向に作用した場合には弁状割創となるか,あるいはその弁状部も切り落として面状割創となる。創洞内に組織が橋架状に残っていない点が挫裂創と異なる。一般に割創は作用力が強大で,骨折や大血管からの出血を伴うことが多く,組織の挫滅を生じて感染の危険性も大きく,致命的な場合が多い。

鈍体による外力が強く作用して,皮膚に創口を生じた創傷。打撲,圧砕,轢過などによって起こる。挫創では一般に創口は不整形で,創縁に表皮剝脱を伴い,周囲に皮内・皮下出血を伴っている。組織の挫滅・破壊を伴うので,創縁および創面は凹凸不規則である。創洞内に結合組織,血管,神経などの抵抗の強い組織が橋架状に両側の創面間につながって残っていることが多い。また,創洞内にはしばしば異物,たとえば土砂,毛髪,自動車の塗膜片などが入っていることがある。挫創がよくみられる部位としては頭部,下顎縁,手背部,下腿部などのように皮膚と骨の間に脂肪組織,筋肉などの軟部組織が少ない部位があげられる。挫創は一般に細菌感染を起こしやすく,また,外力が大きいために内部臓器の損傷による出血,ショックなど全身症状を伴うことが多い。

鈍体の作用によって組織が著しく牽引伸展され,ついには組織の弾力性の限界を超えて組織が裂けてできた創傷。皮膚においては割線の方向に一致して裂けることが多いが,ときには一致しないこともある。創縁は比較的直線状で,表皮剝脱を伴わず,しばしば切創のような創縁を示すことがある。しかし,創洞内をよくみると,弾力繊維,神経,血管などが橋架状に残っていることが多い。皮膚の表層だけが伸展によって亀裂を生じたときは伸展創と呼び,交通事故の際などに主として鼠径部(そけいぶ)付近にみられる。肛門にみられる裂肛は硬くて大きい便が排出されるときに,肛門の過度の伸展により生じた裂創である。吐血,下血を主訴とするマロリー=ワイス症候群Mallory-Weiss syndromeは,頻回の嘔吐を繰り返すことによる胃内圧亢進のために食道下端部から胃の噴門部の粘膜に生じた裂創である。

人または動物の歯でかまれてできた創傷。歯牙の形に相当して圧痕,皮下出血,挫創,刺創に近い挫創等をつくり,ときにはかみちぎられて組織の欠損(組織欠損創,切断創)となる。咬傷から加害者の歯型を推定することは重要である。咬痕にみられる皮下出血の色調の変化から受傷後の経過時間を推定することもできる。咬傷では口腔内細菌の感染を受けて炎症を起こしやすい。咬傷による特殊な疾患として鼠咬症狂犬病などがあり,ヘビによる咬傷では,しばしばヘビ毒による激しい中毒症状を呈し,毒ヘビの場合には死亡することもある。

銃器から発射された弾丸が当たってできた創傷。一般には銃創という。(1)射創の種類 弾丸が体内を貫いて体外に出ていれば貫通射創,弾丸が体内にとどまっていれば盲管射創という。また弾丸がかすって体表にできた表皮剝脱あるいは溝状の射創を擦過射創(溝状射創)といい,速度の衰えた弾丸が皮膚に当たっただけで体内に入らず跳ね返ったものを反跳射創という。この場合,皮膚には著明な損傷を生ぜずして,深部臓器に損傷を生ずることがある。このほか,たとえば頭部に射入した弾丸が頭蓋骨の内面に沿って一周して射入部近くで射出する場合,回旋射創(周匝(しゆうそう)射創)という。弾丸が地面や壁に当たって跳ね返ってから身体に当たり損傷するものを跳弾射創という。(2)射創の性状 弾丸が射入したところを射入口,弾丸が通過した跡を射創管,弾丸が射出したところを射出口という。射入口の性状は遠射,近射,接射によって異なる。弾丸の作用のみが及ぶ距離からの射撃を遠射といい,煙や火薬粉粒の付着はない。遠射では,射入口の大きさは弾丸の大きさよりも少し小さいのが普通である。弾丸が体表に垂直に当たれば類円形の,斜めならば楕円形の組織の欠損となる。射入口の周囲に幅2~4mmの輪状の表皮剝脱(挫砕輪)をみることが多い。近射では,弾丸の作用以外に燃残りの火薬粉,煤煙,炎(先にあげたものほど遠方まで到達する)の作用によって射入口の周囲に種々の変化を生ずる。射入口は単なる組織の欠損のほかに,破裂状,類星状となり,欠損部は弾丸より大きいこともある。弾丸以外のもの(ことに不燃焼の火薬粉)が到達する距離は銃器の種類,風速,風の方向などによって異なるが,限界は小銃で2m,拳銃で1mとされている。接射では,弾丸とともに煤煙,炎,不燃焼の火薬粉が射創管内に入りこみ,射創管はこの圧力で広大となる。射入口は類星状に破裂し,ときには皮膚に銃口の形が印されていることがある。弾丸はしばしば体内で変形し,骨その他の組織片を伴って出るので,射出口は一般に射入口より大きい。ただし接射の場合は射出口は射入口より小さいことが多い。
執筆者:

(1)ためらい創 刃物で自殺を試みた自殺者自身によって自分の体になされる,あたかもためらいながら傷つけたような創傷。逡巡創ともいう。部位としては,自分で傷つけることができ,一般に自殺の際に突いたり切ったりする頸部,左胸,腹部,手関節部手掌側にみられることがほとんどである。数は,1ヵ所に多数が集中していることもあり,何ヵ所にも1個から多数の傷があることもある。傷の種類は切創や刺創で,致命的な深い大きな傷の周囲に平行して認められることが多い。一般に,深い大きな傷によって心臓などの重要臓器や大血管が損傷されて死亡するが,刃物だけによる傷では死にきれず,縊頸(いけい)や絞頸によって死亡したり,入水して死亡したりすることもある。

(2)防御創 刃物による攻撃を防御した際に,他為的に生じる上肢の創傷。部位としては,相手の刃物をつかんだ場合は手掌に,払いのけた場合や受け止めた場合は前腕や手背にできる。傷の種類は切創が多いが,刃物の種類や攻撃,防御のしかたにより刺創や割創などもできる。棒などの刃のないものによる攻撃を防御した場合は,皮下出血,表皮剝脱,挫創,裂創などができる。アイスピックなど先のとがったものの場合は,刺創などができる。これら種々の凶器による攻撃を防御した際にできる損傷を総称して,防御損傷という。防御創は,自殺の場合にみられる前記のためらい創とともに,自殺,他殺の判別に用いられるので,この両者を区別することは法医学上非常に重要である。防御創は,ためらい創がよくみられる手首の手掌側や肘窩(ちゆうか)には少なく,ためらい創が平行に集合しているのに対して,それぞれ独立した状態としてみられる。
執筆者:

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普及版 字通 「傷」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

[字音] ショウ(シャウ)
[字訓] きず・やぶる・いたむ・そしる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(しよう)。は昜(よう)(陽)の上を覆う形。昜は台上に玉(日の形)をおき、その玉光が下方に放射する意。魂振りとしての呪儀を示すものとみられる。これを上から覆って、その呪儀を妨げることをといい、そのような害を人に及ぼすことを傷といい、殤という。〔説文〕八上に「創(きず)なり」というのは槍傷。〔説文〕はまた字を(しよう)の省声とするが、は矢傷。ともにの声義を承ける。

[訓義]
1. そこなう、呪儀によって人体に損傷を与える。
2. きず、きずつける、きずつく、刀や矢できずつける、やぶる。
3. いたむ、やむ、なやむ。
4. そしる、うったえる。
5. 心がいたむ、うれえる、あわれむ。
6. 殤と通じ、わかじに。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕傷 イタム・カブル・ソコナフ・キヅツク・オモフ・オモホフ・ニクム・キズ・ヒハル・アトフ・ヲシム・マレカ

[部首]
〔説文〕にを収めず、觴・殤・傷・慯の各条にの省声とするが、はこの声系の原字ではない。昜は陽の初文で、台上の陽光の放射する形。玉による魂振り儀礼。これを覆うのは、勝社(亡国の社)に屋するのと同じく、弔葬の礼を意味するものであろう。〔説文〕は昜をも勿(ふつ)部九下に属し、「開くなり」と訓し、陽との関係に言及していない。

[声系]
〔説文〕にを収めないが、觴・殤・傷・慯などみな声。觴のほかは、みなの声義を承ける字である。

[語系]
傷・殤・・慯sjiangはみな同声。また創・瘡・愴tshiangと声近く、傷はのち創傷の意となった。倉には傷害の意はなく、おそらくtshiangと同声、創はの形声字であろう。

[熟語]
傷哀・傷夷・傷痍・傷化・傷禾・傷稼・傷悔・傷懐・傷害・傷寒・傷旱・傷陥・傷感・傷毀・傷泣・傷苦・傷懼・傷形・傷蹶・傷枯・傷国・傷穀・傷魂・傷痕・傷嗟・傷摧・傷財・傷殺・傷惨・傷残・傷疾・傷酒・傷春・傷暑・傷情・傷食・傷心・傷身・傷瘁・傷逝・傷生・傷沮・傷愴・傷惻・傷俗・傷損・傷嘆・傷墜・傷痛・傷涕・傷詆・傷・傷悼・傷慟・傷破・傷敗・傷伐・傷煩・傷瘢・傷悲・傷病・傷愍・傷憫・傷風・傷暮・傷乱
[下接語]
哀傷・夷傷・懐傷・外傷・害傷・咸傷・毀傷・軽傷・撃傷・咬傷・挫傷・殺傷・惨傷・刺傷・死傷・愁傷・重傷・暑傷・食傷・心傷・身傷・悽傷・戦傷・創傷・賊傷・損傷・嘆傷・中傷・傷・凍傷・内傷・敗傷・悲傷・微傷・扶傷・負傷・謗傷・憂傷・烈傷・裂傷・

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