精選版 日本国語大辞典 「先占」の意味・読み・例文・類語
せん‐せん【先占】
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法律上の用語で、ローマ法、国際法、および民法上の先占がある。
[弓削 達]
ローマ法では、だれの所有にも属さない物(無主物)を所有する意思で、それを占有取得することによってその所有権を取得すること。先占の客体となるものは、地上、海中、空中において捕獲される動物、戦争において敵から捕獲した物、所有者が放棄した物、および海上に出現した島、ないしは公河川の中に出現した島、また海岸で発見された宝石その他の物である。とくに歴史的に影響するところが大きかったのは、建物のない国有地が無主物先占の客体とされたことである。このような先占地は、そこから得られる収益の一部をスティペンディウム(戦費のための税)として国庫に納めることを義務づけられたが、それが徴収されないことも多く、またその占有者はその土地を使用収益するほか、譲渡、売却、遺贈による処分もできたから、占有は所有に近いものになっていった。ローマ大土地所有が形成されたもっとも大きな要因は、この先占地の増大で、法律によってたびたび先占地の制限が図られたが、成功しなかった。
[弓削 達]
国際法が認める領域取得の権原の一つで、ある国がどの国にも属さない陸地や島に領有する意思で支配を及ぼし、その領域とすること。先占の客体は国際法上の無主地であるが、これは無人島に限らず、人が住んでいても国家の領域となっていない地をさす。先占の要件は国家による領有の意思と、実効的な占有とである。実効的占有は土地の使用や定住よりもむしろ支配権の確立を意味し、その程度は土地の状況によって異なる。しかし、無人島を発見して領有を宣言しても、それだけでは先占は有効とならない。国際法上の先占はローマ法の無主物先占の法理を類推して導入され、主として、近世初頭における地理上の大発見以来、ヨーロッパの列強による植民地獲得競争の法的基準として作用した。植民地分割の完了とともに歴史的役割を終えたといえるが、それだけに、第三世界の諸国のなかにはこの規則に対する批判がある。しかし今日でも帰属未定地の取得や、領土紛争の対象地域に対する過去の先占の効力判定に、適用される余地がある。南極大陸は帰属がまだ確定しないが、南極条約により新たな先占は認められず、領土権が凍結されている。
[太寿堂鼎]
野生の動物など所有者のいない動産を、所有の意思をもって占有すること。無主物先占ともいう。先占をした者は、これによりその動産の所有権を取得する(民法239条1項)。所有の意思をもって占有することが必要とされるが、この意思は、所有者がするのと同様の事実的支配をする意思があれば足り、とくに所有権を取得しようとする意思は必要でない。漁業会社の捕鯨船の乗組員が鯨を捕獲したというような場合には、その会社が乗組員を手足に使って先占したこととなる。無主の不動産は国庫(財産権の主体としての国家)の所有に属することとなるので(同条2項)、先占の対象とならない。
[竹内俊雄]
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