先腹(読み)サキバラ

デジタル大辞泉 「先腹」の意味・読み・例文・類語

さき‐ばら【先腹】

先妻が産んだ子。⇔後腹あとばら
主君の死に先んじて切腹すること。⇔追い腹
「―切って死出山路の案内せん」〈浮・伝来記・一〉

せん‐ばら【先腹】

先妻の腹にできた子。さきばら。せんぷく。
一人は―にて、二十一なり」〈曽我・二〉

せん‐ぷく【先腹】

先妻の子。さきばら。せんばら。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「先腹」の意味・読み・例文・類語

さき‐ばら【先腹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 先妻の腹から生まれること。また、その子。せんばら。⇔後腹
    1. [初出の実例]「さきばら後ばらの子はたがひにいどみあふ事とぞ」(出典:俳諧・類船集(1676)久)
  3. 主君の死に先立って、切腹すること。⇔追腹(おいばら)
    1. [初出の実例]「我々は先腹(サキハラ)切て死出の山路の案内せん」(出典浮世草子武道伝来記(1687)一)

せん‐ぷく【先腹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 先妻の子。せんばら。さきばら。⇔当腹
    1. [初出の実例]「先腹の兄二人を世にあらせて見んとも思はざりければ」(出典:太平記(14C後)三七)
  3. 先妻。前腹。
    1. [初出の実例]「此三人は先腹一腹なり」(出典:土岐累代記(1615))

せん‐ばら【先腹・前腹】

  1. 〘 名詞 〙 前の妻の生んだ子。先妻の腹にできた子。さきばら。せんぷく。⇔当腹
    1. [初出の実例]「一人は、せんはらにて、二十一なり」(出典:曾我物語(南北朝頃)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

メタン

化学式 CH4 。最も簡単なメタン系炭化水素で,天然ガスの主成分をなしている。また石炭ガスにも 25~30%含まれる。有機物の分解,たとえばセルロースの腐敗,発酵の際に生成され,沼気ともいわれる。また...

メタンの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android