入れ墨(読み)イレズミ

デジタル大辞泉 「入れ墨」の意味・読み・例文・類語

いれ‐ずみ【入れ墨/文身/刺青】

皮膚に、針・骨片小刀などで傷をつけ、墨汁などを入れて文字や絵画などを描くこと。また、そのもの。酸化鉄しゅなどを入れて着色もする。江戸時代から遊び人などの間に多く行われた。彫り物。刺青しせい
中国古代の五刑の一。顔または腕に墨汁を刺し入れて、前科しるしとしたもの。日本でも江戸時代に刑罰として行われた。げい
あとから筆を加えること。加筆。入れ筆。
すずり引き寄せ、筆染めて、ここが眼と―の」〈浄・双生隅田川
[類語]彫り物刺青タトゥーくりからもんもんげい文身ぶんしん入れ黒子ぼくろ黥首げいしゅ黥面げいめん筋彫り箚青さっせい墨刑ギミックアクセサリー刻む彫る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「入れ墨」の意味・読み・例文・類語

いれ‐ずみ【入墨・黥・刺青】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 皮膚に傷をつけ、墨汁や絵の具で文字や模様などを彫りつけること。また、そのもの。ほりもの。文身。刺青(しせい)。がまん。いれぼくろ。
    1. [初出の実例]「身に龍蛇の形を入墨(スミ)にすれば、蛟龍恐れて不害と云」(出典:応永本論語抄(1420)泰伯)
  3. 刑罰の一つ。腕、足、額などに墨汁をさし入れて犯罪人の目じるしとするもの。江戸時代には、追放、叩きなどの刑に付加して行なわれた。墨刑(ぼっけい)
    1. 入墨<b>②</b>〈禁令考 諸国入墨之図〉
      入墨〈禁令考 諸国入墨之図〉
    2. [初出の実例]「墨刑はとがをした者のかるいにはひたいに入(いレ)墨をするぞ」(出典:玉塵抄(1563)一)
  4. 遊里で、女郎と馴染み客が互いの名を「〇〇命」などと二の腕に彫り込むこと。また、その文字。起誓彫りともいう。いれぼくろ。
    1. [初出の実例]「抑(そもそも)いれずみをする心ざし、断髪より高上のさたともいはれず、又、断髪の下の品にもをかれざる所作なり」(出典:評判記・色道大鏡(1678)六)
  5. あとから書き加えること。入れ筆。加筆。
    1. [初出の実例]「すずり引きよせ筆そめて、爰が眼と入れずみの」(出典:浄瑠璃・双生隅田川(1720)二)

入れ墨の語誌

( 1 )魏志倭人伝」には、倭人が顔に入れ墨をする旨の記述があり、「日本書紀」にも刑罰として入れ墨を施す旨の記述があって、古くから行なわれていたことが分かるが、「いれずみ」の語はなく、中世になって現われる。
( 2 )江戸時代には刑罰の場合を「入れ墨」、自分から行なうものを、江戸では「彫り物」、上方では「いれぼくろ」といった。

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