ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「入江相政」の意味・わかりやすい解説
入江相政
いりえすけまさ
[没]1985.9.29. 東京
昭和天皇の侍従長,随筆家。父方は公卿・冷泉家,母は大正天皇の生母柳原二位局の姪という天皇家にごく近い家柄に生れた。東京大学文学部を卒業,学習院教授を経て 1934年から侍従をつとめる。 68年生え抜きの侍従として初めて侍従長に就任。側近生活は 51年に及び,二・二六事件や第2次世界大戦後の地方巡幸など,昭和の激動期を天皇とともに歩んだ。 80歳を機に退任を決意するが急逝。現職侍従長としてあと1日を残しての最期だった。歌を詠み,書をよくする趣味人でもあった。主な著書に『天皇さまの還暦』 (62) ,『侍従とパイプ』 (79) ,『宮中歳時記』 (同) などがあり,その軽妙洒脱な筆致は多くの読者を魅了する一方,人間天皇の語り部として皇室と国民を近づける役割も果した。
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