入調(読み)にゅうじょう

精選版 日本国語大辞典 「入調」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐じょうニフデウ【入調】

  1. 〘 名詞 〙 雅楽で、左方舞楽の時に、舞人が曲を舞い終わり、入手(いるて)を舞う時から楽屋にはいる時まで笙(しょう)篳篥(ひちりき)龍笛によって奏でられる楽曲
    1. [初出の実例]「大食調のにうてうを〈略〉年経て教へまさざりけるほどに」(出典:今鏡(1170)六)

じゅ‐ちょう‥テウ【入調】

  1. 〘 名詞 〙 楽曲で、調子に合うこと。また、調子に合わせること。
    1. [初出の実例]「琵琶は新声を入調(ジュテウ)するに堪へたれども」(出典読本英草紙(1749)四)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「入調」の意味・わかりやすい解説

入調
にゅうぢょう

雅楽のなかの唐楽曲名。後奏曲の一種。万歳楽,春庭楽,央宮楽などの舞楽上演の際,舞人の退場楽として笙 (しょう) ,竜笛 (りゅうてき) ,篳篥 (ひちりき) の管楽器羯鼓 (かっこ) によって合奏される。笙と篳篥は登場楽に奏する「調子」を代用し,竜笛のみ退場楽として特別に作曲された曲を奏する。壱越 (いちこつ) 調の曲には壱越調の入調というように各調にあるが,特に竜笛の場合,太食 (たいしき) 調では上調子 (かんぢょう) ,平調では臨調子 (あがぢょう) と称し,その他の調では入調という。

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世界大百科事典(旧版)内の入調の言及

【調子】より

…笙と篳篥,および竜笛の〈品玄〉は,それぞれの楽器ごとに複数の声部に分かれて,時間的に少しずつずらせて吹く退吹(おめりぶき)という特徴的な吹き方をする。また竜笛が〈入調(にゆうぢよう)〉という旋律を吹き,かつ笙,篳篥,竜笛の3管がいっせいに退吹を開始する《調子入調》という形もある。《調子笙三句》は本格的な管絃または略式の舞楽の前奏に,《調子品玄》は本格的な舞楽の前奏に,《調子入調》は舞楽の後奏に,それぞれ用いられるのが原則といえる。…

※「入調」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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