公務員制度(読み)こうむいんせいど

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公務員制度」の意味・わかりやすい解説

公務員制度
こうむいんせいど

広義では官吏制度と同義であるが,特に日本国憲法と国家公務員法のもとで使われるようになった公務員の人事体系。歴史的にみると近代国家における官吏制度は絶対主義の時代に始るが,やがて市民階級議会制の勝利という形で国家権力を掌握すると,絶対主義的官吏を自己の侍僕に変えることを要求した。たとえば,議会制の母国,イギリスでは 18世紀ないし 19世紀前半にかけて,議会の領袖による官吏の情実任免がみられた。なお,アメリカでも 19世紀前半から猟官制が盛んになった。しかしこのような慣行は,その後,政党金権政治が発達するに伴って,売官や党派的任免を導いたため,また行政に専門的能力が必要になったため,改革が要求されるようになった。イギリスでは 1855年と 70年の改革によって近代的公務員制度が発足した。アメリカでも 83年のペンドルトン法によって,(1) 試験任用の採用,(2) 職務の分類 (→職階制 ) ,(3) 人事委員会の設置,(4) 政治活動の制限が行われた。戦後日本における公務員制度は英米系の制度を採用したものである。

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世界大百科事典(旧版)内の公務員制度の言及

【国家公務員法】より

…国の公務に携わる公務員の身分,権利・義務,任命権者,人事機関などを定めるとともに,服務の根本基準を定めた国家公務員制度の基本法(1947公布)。国の公務員に関しては,そのほかに数多くの法律がある。…

※「公務員制度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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