小学校6年、中学校3年を基本とする単線型の学校制度をさす。歴史的にはアメリカで20世紀初期に成立した制度であるが、日本で一般的には、第二次世界大戦後1947年度(昭和22)より実施された六・三・三・四制の新制度全般をまとめて六三制という。戦後日本の学校制度は学校教育法(1947年4月1日施行)による。この法律のなかで、修業年限について、小学校6年(32条)、中学校3年(47条)、高等学校3年(56条。ただし定時制・通信制は3年以上)、大学4年(87条。特例あり)とそれぞれ定められている。六三制により、前期中等教育までが義務教育となり、すべての国民に開放された。新制中学校は旧制の国民学校高等科、青年学校普通科および旧制中学校の低学年を統合再編したものであったが、新学制実施直前には同一年齢層の約9割がこれらの学校に在籍しており、義務教育化のための実質的な基盤はすでにできていた。敗戦後の極端な財政的窮乏のもとで強行された新制度は、「すし詰め授業」や二部授業さらには四部授業といった多くの問題を抱えて出発した。そのため、発足後2、3年すると、「六二制」への短縮案が大蔵省などから出されたが、世論の支持が強く、六三制は存続した。
第二次世界大戦後の日本における六三制の特徴は、教育の機会均等の理念から単線型学校制度であったことのほか、中等教育の一部が義務化され、中学校までの教育課程が全国共通のものとなったこと、男女共学の原則がとられたことなどである。これらの特徴から、六三制は民主的性格をもつものとして評価され、さらにその後、後期中等教育や高等教育の大衆化をもたらすことによって、学校教育の量的拡大が急速に行われた。
しかし、一方では画一的な単線化に対して、複線化への傾向も加わり、1961年(昭和36)には高等学校から大学前期課程にわたる高等専門学校の創設、さらに1998年(平成10)には中学校と高等学校とを一貫して接続する中等教育学校の設置等が行われた。
[真野宮雄]
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