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アメリカの二大政党の一つ。南北戦争を前に奴隷制拡大反対の諸勢力を結集して,1854年に形成され,56年の選挙に大統領候補を立て全国政党として登場し,60年の選挙にはその候補リンカンを当選させて,二大政党の一つとしての地位を確立した。シンボルマークはゾウ。
歴史的には,建国期のフェデラリスツ,1830年代以降のホイッグ党の流れをくむ。19世紀中葉に民主党が南部プランター勢力の政党と化するに及び,それに対抗して東北部の新興産業資本勢力と中西部の自営農民層との連合体として組織された。西部出身でありかつホイッグ党出身のリンカンは,この連合の組織者であるとともに象徴でもあった。60年の政綱では奴隷制拡大反対を最大公約数とし,産業資本には保護関税政策を,農民層にはホームステッド(自営農地)法制定を,両者を結ぶものとして大陸横断鉄道の実現を約束し,広く東部の都市住民,西部の農民に訴えている。南北戦争後,共和党は急激に発展する東部の工業,ますます拡大する西部の農業を背景に,アメリカ資本主義の興隆を担う政党として,1929年よりの大恐慌にいたるまで,2名の民主党大統領の任期(S.G. クリーブランド,T.W. ウィルソン)を除き,政権を続けて掌握していた。その政策も,保護関税政策,鉄道などの企業への援助策,金本位政策などいわゆる大実業の利益を促進するものが多かった。外交面においても,米西戦争,門戸開放政策,ドル外交など世界強国としてのアメリカの利益を促進する積極政策を展開した。しかし,共和党自体の中にも,ウィスコンシン州のラ・フォレットに代表されるような農民層を地盤とする革新勢力が存在していたことも留意されなければならない。
1932年の選挙以降,共和党は半ば万年少数党化し,大統領選挙ではアイゼンハワー,ニクソン,レーガンなどを当選させたが,下院の議席では2期4年を除きつねに少数党であった。40年以降は,民主党のニューディール政策を基本的には認め,穏健な中道政策を表明してきたが,民主党政権の下で,一方で社会福祉政策の費用が膨大化し,連邦政府の機構が巨大化し,他方ベトナム戦争以降アメリカの対外威信が弱まるにつれ,国内的には小さな政府を,対外的には強いアメリカを標榜し,アメリカ社会の右傾化に乗じて,しだいに勢力を拡大してきた。ことに,人口の比重が東北部の大都市地帯(スノー・ベルト)から西部,南部のいわゆるサン・ベルトへと移行するに伴い,そうしたサン・ベルトを背景に,共和党の支持層が増大しつつあることは注目してよい。
→民主党
執筆者:斎藤 真
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①ジェファソンを指導者として1794年頃形成されたアメリカの政党。1801年に政権を得た後しだいに連邦党を圧倒し,16年以後対立政党を持たなかったが,24年までに党の統一は失われ,やがて民主党とホイッグ党とに分かれた。
②アメリカの二大政党の一つ。奴隷制の拡大に反対する人々が1854年に組織したのが始まりで,北部諸州で急速に勢力を伸ばし,60年にはリンカンを大統領に当選させた。南北戦争中から戦後にかけて,共和党は奴隷を解放し黒人に市民権を与える政策を推進したが,南部では勢力を築くことができず,76年以後,南部の人種問題の処理を南部白人に任せた。また南北戦争中から保護関税,鉄道建設助成など産業資本家の要望に沿う政策を推進した。共和党は南北戦争後1932年まで,4度の例外を除き大統領選挙に勝ってきたが,32年の選挙に敗北した後は保守政党として敬遠され,50年代に8年間政権を保持しただけだった。しかし60年代末からは,保守主義への再帰傾向とソリッド・サウスの崩壊とに助けられて,共和党の大統領が多くなっている。
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[アメリカ]
アメリカの政党は,皮肉なことに反政党主義的立場に立っていたワシントンの下での主要閣僚であったハミルトンとジェファソンによって,18世紀末に創設された。すなわち連邦党と民主共和党である。当初優位に立っていた連邦党は19世紀に入ると民主共和党に連敗して消滅し,民主共和党体制が続く中で〈ジャクソニアン・デモクラシー〉時代が到来したが,この間に民主党と呼ばれるようになった民主共和党では,党内のジャクソン派と反ジャクソン派の対立が激化し,反ジャクソン派は1828年に国民共和党(1834年にホイッグ党と改称)を結成し,40年にハリソン,48年にタイラーを大統領に当選させた。…
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