兵器廠(読み)ヘイキショウ

デジタル大辞泉 「兵器廠」の意味・読み・例文・類語

へいき‐しょう〔‐シヤウ〕【兵器×廠】

兵器購入保管支給修理などを行う機関

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精選版 日本国語大辞典 「兵器廠」の意味・読み・例文・類語

へいき‐しょう‥シャウ【兵器廠】

  1. 〘 名詞 〙 兵器の購買検査貯蔵、保存、支給、交換、廃品処分などを行なう機関。
    1. [初出の実例]「兵器廠は兵器本廠、兵器支廠及兵器分廠より成る」(出典:陸軍兵器廠条例‐明治三〇年(1897)一条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「兵器廠」の意味・わかりやすい解説

兵器廠
へいきしょう

旧日本陸軍の兵器調達、修理、補給などを担当していた機関。1942年(昭和17)、改称されて陸軍兵器補給廠となる。広くは兵器の生産、修理、調達、補給などにあたる機構について用いる。最近では民間の軍需工場を含めていうこともある。

 日本では官営の本格的な兵器生産機構として1879年(明治12)、陸軍の砲兵工廠設けられ、1889年には海軍造兵廠が誕生、1903年(明治36)には海軍工廠が設置された。のち1923年(大正12)、砲兵工廠造兵廠となり、その下に工廠、火工廠が置かれた。別に被服本廠、糧抹(りょうまつ)本廠、衛生材料廠、航空本廠などがあって、軍需品の補給を担当した。兵器生産の多くは官営工場でなされたが、航空機生産はほとんどを民間企業に依存していた。だが1940年(昭和15)陸軍航空工廠が設けられ、航空兵器の調達、修理、補給にあたった。海軍は1932年、航空廠を設立している。

 第二次世界大戦の敗北によって、陸海軍が解体され、軍需生産も完全に停止された。だが朝鮮戦争契機特需駐留軍発注による需要)として軍需生産が始まり、その後自衛隊の増強による需要の増大もあって、防衛産業が形成されるに至った。今日の軍需生産は、すべて民間企業に依存しており、かつてのような官営生産は行われていない。防衛省は研究、調達機関と一部の修理施設をもつだけである。このため最大の軍需生産企業である三菱(みつびし)重工業が「三菱兵器廠」とよばれることもある。

[藤井治夫]


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百科事典マイペディア 「兵器廠」の意味・わかりやすい解説

兵器廠【へいきしょう】

官営の兵器生産工場。造兵廠,工廠などとも。近代国家の形成期に,大量の銃砲,弾薬などを軍隊に補給する経済上,技術上の必要から創設され,資本主義的生産の先導者となった例も多い。日本では1868年幕府の関口製造所を明治政府が接収,のち東京砲兵工廠としたのが最初で,陸海軍とも多数の兵器廠を設け,第2次大戦敗戦まで,火砲,弾薬,艦艇,被服,燃料などの量産を行った。
→関連項目官営工業

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