典礼(読み)てんれい

精選版 日本国語大辞典 「典礼」の意味・読み・例文・類語

てん‐れい【典礼】

〘名〙
① 定められたきまり。一定儀式。定まった儀礼礼儀
※続日本紀‐元正即位前(715)「天皇神識沈深、言必典礼
公議所日誌‐一八上・明治二年(1869)六月「赦令往古よりの典礼なれば」 〔易経‐繋辞上〕
② 中国、古代の官名。礼をつかさどる。〔礼記王制
③ ローマ‐カトリック教会東方正教会および一部のプロテスタント教会で、公に行なわれる礼拝の儀式をいう。

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デジタル大辞泉 「典礼」の意味・読み・例文・類語

てん‐れい【典礼】

定められた儀礼や儀式。「即位の典礼
特に、キリスト教の教会が行う公の礼拝・儀式。
[類語](1儀式式典セレモニー祝典祝儀祭典祭礼祭儀大祭大儀大礼大典盛儀

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世界大百科事典 第2版 「典礼」の意味・わかりやすい解説

てんれい【典礼 liturgy】

神への公的礼拝のこと。家庭内または個人の祈禱は典礼に含めない。典礼は,神と人間の出会いの場としてどの宗教にも存在し,宗教の本質的部分をなす。ここではキリスト教の典礼について述べる。
[概念と本質]
 典礼は,キリスト教の信仰共同体である教会の儀礼の総称で,その中心は,主日(日曜日)の礼拝集会であるが,キリスト者の生涯の重要な時期にあたっても種々の典礼が行われる。典礼の原語はギリシア語leitourgiaであり,15世紀にラテン語をはじめ西欧の諸言語に入ったもので,語源から見て会衆の共同の業(わざ)であることが示されている。

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普及版 字通 「典礼」の読み・字形・画数・意味

【典礼】てんれい

定められた礼式。また、その官。〔礼記、王制〕典禮に命じて、時を考へ日を定め、律・禮・樂・制度・衣を同じうして、之れを正さしむ。

字通「典」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「典礼」の意味・わかりやすい解説

典礼
てんれい
liturgy

キリスト教用語。ギリシア語の leitourgiaの訳。元来あらゆる種類の公共の行事をさしたが,のちに公共の宗教行事に限定されるようになった。現在では,神への公的礼拝を表現するために定められた儀式,あるいは儀式の総体をいう。東方教会などでは,特に聖餐を典礼と呼ぶ。

典礼
てんれい

古代中国における一定の儀式の意。それを司る役職をもさす (易経,礼記) 。

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世界大百科事典内の典礼の言及

【イタリア音楽】より

…いわゆる芸術音楽は,ギリシアの範にならったものが支配的だったろうが,長い年月のあいだにローマ独自のものを創り出したことだろう。 313年にキリスト教が公認された直後,ミラノの司教アンブロシウスらは,東方の初期キリスト教徒たちの例にならって,典礼に歌を用いることに積極的な態度をとり,アンブロシウス聖歌として伝えられる単旋聖歌の体系の礎を築いた。しかし,アンブロシウスの弟子でもあったアウグスティヌスによる,〈歌の内容にではなくて,歌そのものに感動したときには,罪を犯したような気持になる〉という反省は,キリスト教会の長い歴史の中で,教会における音楽のあり方をめぐっての論議に際し,折にふれて思い出されることになる。…

【宗教劇】より

…古来,演劇は宗教,あるいは宗教的・祭儀的なものと密接に結びついており,古代ギリシア演劇はいうまでもなく,インドのサンスクリット古典劇(インド演劇)にせよ,あるいは日本のにせよ,濃厚に宗教的・祭儀的色彩を帯びるものであったし,この内在的伝統は今日もなお何らかの形で生き続けていると考えることができるだろう。だが演劇史的にみて,そのような〈宗教性〉を帯びた演劇が最も直接的・典型的な形で隆盛となったのは,中世ヨーロッパにおけるさまざまなキリスト教劇(典礼劇,受難劇,聖史劇,神秘劇,奇跡劇など)の場合であり,今日,〈宗教劇〉という語が用いられる場合に,固有名詞的にこれらを総称していうのが普通である。 中世ヨーロッパにおけるキリスト教宗教劇は,概括していえば,イエス・キリストの生誕,受難,復活などのそれぞれの場面や,それら場面の連続,あるいはその生涯の全体,また,使徒や聖者の言行,さらには旧約聖書中の物語,エピソードなどを劇化したものであるが,それはもともと,10世紀初めころに,復活祭典礼の交誦(こうしよう)tropusから発生したといわれている。…

※「典礼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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