内モンゴル高原(読み)うちもんごるこうげん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「内モンゴル高原」の意味・わかりやすい解説

内モンゴル高原
うちもんごるこうげん / 内蒙古高原

中国北部、内モンゴル自治区の大部分を占める高原。モンゴル高原の一部で、陰山(いんざん/インシャン)山脈の北、大興安嶺(だいこうあんれい/ターシンアンリン)以西にあたり、北はモンゴル国境まで広がり、西は東経106度付近までである。面積は約34万平方キロメートル、行政区域からいうとフルンボイル盟西部、シリンゴル盟の大部分、ウランチャブ盟とバイニール盟の北部を含む。ただし広義の内蒙古(うちもうこ)高原には陰山より南のオルドス高原と賀蘭(がらん/ホーラン)山脈以西のアルシャ高原が含まれる。地形は一般に起伏が緩やかで、高原上の浅くて広い盆地はタルとよばれ、フルン、居延などのタルがある。西部にはバダインジャラン、ウランブフ、テンゲルなどの大砂漠が多く、砂丘が発達するが、モンゴルとの国境付近は広大なゴビ(礫質(れきしつ)砂漠)をなす。東部は広大な草原地帯で、優れた天然牧場であったが、南部は農地化し、また過度の放牧開墾により砂漠化した砂地もみられ、その回復に努めている。

[河野通博]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内モンゴル高原」の意味・わかりやすい解説

内モンゴル(蒙古)高原
うちモンゴルこうげん
Nei Mongol gaoyuan

モンゴル高原の中国領部分の呼称。東をターシンアンリン (大興安嶺) 山脈,南を万里長城とインシャン (陰山) 山脈,チーリエン (祁連) 山脈に限られ,内モンゴル自治区に属する。平均標高は 1000mで,ゆるやかに起伏し,小高い丘と浅い盆地が入り交っており,内陸河川と湖が点在。大陸性気候で冬季の寒さはきびしい。年降水量は 50~200mmで,北東に進むにつれて多くなる。北東部のシリンゴル (錫林郭勒) 盟やフルンボイル (呼倫貝爾) 盟は牧草がよく繁茂して,ウマ,ウシなど大型家畜の牧畜地域となっている。西部から中部では,ヒツジヤギの放牧を主とし,ラクダもみられる。モンゴルとの境はゴビ (礫質砂漠) が広がり,西部のアルシャ (阿拉善) 高原は砂質砂漠が大部分を占める。「緑の長城」と呼ばれる防砂林の造成が高原の南縁で進められている。

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