精選版 日本国語大辞典 「内視鏡」の意味・読み・例文・類語
ないし‐きょう ‥キャウ【内視鏡】
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管腔(かんくう)臓器または体腔内を直視下で診断および治療することを目的とした機器の総称。広義には耳鏡、腟(ちつ)鏡、肛門(こうもん)鏡なども含まれるが、狭義には光学系を内蔵するものをさす。これには硬性鏡と軟性鏡がある。硬性鏡は金属製パイプにレンズ・プリズムの光学系を内蔵したもので、膀胱(ぼうこう)鏡、直腸鏡、腹腔鏡、関節鏡などがある。軟性鏡には胃カメラとファイバースコープが含められる。内視鏡の検査適応領域は広いが、ここでは消化器領域を中心に述べる。
内視鏡の歴史は古く、19世紀初めに喉頭(こうとう)鏡、食道鏡、その後に胃鏡が作製されているが、これらはすべて金属製パイプを目的部位に挿入して観察するもので、制約が多くて日の目をみずに終わった。20世紀に入り軟性胃鏡が開発されたが、数多くのレンズ系を通して結像するので、柔軟性や光量など機器の性能に制約が多く、撮影した写真も暗くて診断能が低劣であった。1950年(昭和25)日本で胃カメラが作製され、臨床上広く普及したが、実際に目で見て撮影することができないものであった。しかし、その撮影した写真による診断価値は優れ、今日でも捨てがたいものがある。ついで登場したのが、ガラス繊維の透光性と柔軟性を利用したファイバースコープである。これは革命的な内視鏡で、その後内視鏡診断学上に画期的位置を占めるに至った。現在では食道から直腸まですべての消化管、胆道、膵管(すいかん)まで適応範囲が広がっている。そのほか、気管支鏡、腹腔鏡、膀胱鏡、縦隔鏡、関節鏡などがあり、それぞれの領域で評価されている。これら内視鏡はほとんどすべて生検が可能で、肉眼診断と同時に直視下採取組織診断が加えられる。
消化管の内視鏡学は日本で著しく進歩し、今日の消化管の癌(がん)における早期診断体制の中軸をなしている。本来、内視鏡は目で見ることを目的とするが、最近では機能検査に応用されて疾患の病態解明、さらに治療面への進出も著しい。内視鏡を用いての治療は、異物の摘出をはじめ、食道静脈瘤(りゅう)の硬化療法、上部消化管出血に対する早期止血、消化管ポリープの切断法、術後狭窄(きょうさく)の高周波利用による切開法、最近ではレーザー光線を用いて止血や癌の治療などが精力的に行われている。また胆道癌や膵癌などの手術不能例に対して、十二指腸乳頭括約筋を高周波切開し、総胆管や膵管へのドレナージを行い胆汁を排出させる閉塞(へいそく)性黄疸(おうだん)の内視鏡的内瘻(ないろう)形成術も行われている。同様の手技で胆管結石の非手術的排出もよく行われる。内視鏡にファイバー導光が導入されて以降、柔軟性がよくなって、従来の機器のような苦痛を患者に強いることがなく、検査が容易に行われるようになり、胃癌の集団検診に際し、食道癌の早期診断を含めて内視鏡検査を第一次選択として用いるべきであるとする考え方も強調されている。
[大柴三郎]
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…近年,CT(コンピューター断層撮影)検査や超音波診断など,患者に疼痛などのない検査法が診断に大きな進歩をもたらしている。 内視鏡検査体腔内や臓器内腔を直接肉眼で観察できるようにくふうした器械を内視鏡というが,食道鏡,気管支鏡,胸腔鏡,腹腔鏡,関節鏡,膀胱鏡などがあって,組織検査を行うことができ,癌,潰瘍などの早期診断に欠かせない検査である。 その他の検査喀痰検査は呼吸器系の病気の検査に役立つ。…
…原子核の核磁気共鳴(NMR)を利用したCTも開発されている。 内視鏡は,日本でとくに発展をみた検査法で,胃,腸,気管支,泌尿器などの管腔に光を運ぶ細いガラス管を束ねてつくったファイバースコープを入れて観察や撮影を行い,同時に先に備えた器具で疑わしい組織を採取する。 生体から組織を採取して組織学的に検索することを生検(バイオプシーbiopsy)という。…
※「内視鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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