円筒
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埴輪の一種。普通円筒ないし円筒形埴輪と呼ぶ筒形品と,朝顔形円筒埴輪との総称。朝顔形円筒埴輪は,筒形の上部がいったんくびれて,斜上方に大きく開く。円筒埴輪には,底径15cm,高さ40cmほどの小型品から,底径80cm,高さ2m余の大型品まであるが,底径15~35cmのものが多い。筒形部に2~7条のたが状突帯をめぐらせ,突帯間には1段おきに孔をうがつ。孔形として方形,三角形,逆三角形,円形があり,まれに巴形,L字形などがある。突帯間の孔数は,ふつう2~4個を数える。2孔の場合は,相対する位置に配し,上段と下段とは孔向をちがえることが多い。円筒埴輪は形象埴輪とともに墳丘に樹立される。その風習の確立は古墳時代の開始にやや遅れ,その廃絶は古墳時代の終焉に先行する。古墳に伴う器物のなかでは存続期間の長いもののひとつである。その間には形態や技法の変遷があり,その変遷にもとづいて,円筒埴輪を5時期に編年している。また円筒埴輪には地域ごとの相違する特色があり,その解明も進んでいる。いっぽう,円筒埴輪の起源については長い学史がある。1888年(明治21)坪井正五郎がはじめてこの問題をとりあげて,古墳の土留め用の柴垣を模倣したものであると説いた。そこで,坪井の柴垣模倣説の当否をめぐって,明治20~30年代に論争がおこった。しかし,墳丘に関する基礎知識が当時きわめて乏しかったために,事実の誤認などがあり,結局この著名な論争は落着をみずに終わった。起源問題がふたたび学界の注目を集めるのは,1967年以降である。これは,岡山県地方における弥生時代のある種の器台形土器に円筒埴輪の祖形を求める,近藤義郎・春成秀爾の共著論文の公表を契機とする。なお,円筒埴輪の特殊な用途として,棺に転用される場合がある。この転用棺をとくに埴輪円筒棺と呼ぶことがある。
執筆者:川西 宏幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
朝顔形円筒埴輪と普通円筒埴輪との総称。前者は墓前に供える壺(つぼ)とそれをのせる器台とが畿内(きない)で結合、形式化したもので、後者は器台が別個に変容したもの。後者の源流は岡山県地方の弥生(やよい)時代後期の墳墓で特殊化した土器にある。
[橋本博文]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…墳丘の排水面では,葺石の直下に砂質土を敷き,また下段の両くびれ部には礫(れき)をつめた施設があった。埴輪列は墳丘を三重にめぐり,推算2200本を数えるほとんどが鰭付(ひれつき)円筒埴輪である。埋置用の溝を掘って立てならべたことも判明した。…
※「円筒埴輪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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