冥加金(読み)ミョウガキン

デジタル大辞泉 「冥加金」の意味・読み・例文・類語

みょうが‐きん〔ミヤウガ‐〕【冥加金】

神仏利益りやくにあずかろうとして、また、あずかったお礼として、社寺に奉納する金銭。冥加銭
江戸時代の雑税の一。商工業者などが営業免許や利権を得た代償として、利益の一部を幕府または領主に納めたもの。のちには、一定の率で課されることが多くなった。冥加銭。

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精選版 日本国語大辞典 「冥加金」の意味・読み・例文・類語

みょうが‐きんミャウガ‥【冥加金】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神仏の加護を得るために、また、神仏の加護に対する謝礼の意として、寺社に奉納する金銭。冥加銀。冥加銭。冥加。
    1. [初出の実例]「めんめんに・夫婦も別の冥加金」(出典:雑俳・浜の真砂(1730))
  3. 江戸時代の雑税の一種本来は農業以外の種々の営業者が営業を免許され、または特別の保護を受けた報償として、利益の一部を金銭で領主に上納したものであるが、のちには一定額を年々課税するようになった。冥加銭。冥加銀。冥加。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「冥加金」の意味・わかりやすい解説

冥加金
みょうがきん

神仏の冥加(目にみえぬ加護)に対する謝礼として、寺社に奉納する金銭を意味することもあるが、一般には、江戸時代における雑税の一種で、商工業者などに課せられる営業税をいう。当時、個人または同業者の組合である株仲間(かぶなかま)の形で領主によって営業の独占を認められていた商工業者たちは、その利益の一部を冥加金として上納していた。その意味では、冥加金は献金的性格が強い。金納を原則としたが、米・物品などの現物納や労役を提供する場合もあった。また、毎年一定額を上納するものを運上(うんじょう)とよび、冥加金とは区別したが、のちには冥加金も一定税率が定められ、毎年、上納されるようになって、混用されることもあった。領主財政が苦しくなると、冥加金は有力な財源となり、江戸中期、田沼意次(おきつぐ)は冥加金の増加による幕府財政の立て直しを図った。

吉永 昭]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「冥加金」の解説

冥加金
みょうがきん

江戸時代,商・工・漁猟などに賦課された雑税。本質的には領民が営業の許可や独占を領主へ願いでる際の献金で,年季を限って毎年不定額を上納するもの。これに対し運上(うんじょう)は,普通,税額が固定されており,もともと租税としての性格が強かった。しかし,冥加金もしだいに一定の税率にもとづき賦課されることが多くなり,その結果,冥加金と運上の違いが不鮮明になったため,両者はほとんど同様の営業税・許可税として認識されるようになった。冥加金は原則として金納だったが,永楽銭で税額を表示する場合には冥加永,米納の場合は冥加米などとよばれ,ときには現物納の場合もみられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「冥加金」の意味・わかりやすい解説

冥加金
みょうがきん

江戸時代,商工業者に課せられた営業税。本来,営業に対して特別の恩典を与えられた報恩として,業者から幕府,藩に献納するものであったが,金納で永続的であったため,税の一種とみなされ,一定の率を定めて毎年課せられることも多くなり,運上と混同されるようになった。商工業者の組合に対して賦課されるのが普通であったが,酒造,酢醤油造,油絞,質屋,旅籠屋などの個人営業者に対する冥加金は村方を経由して賦課された。冥加金,冥加銀のほかに,物納もしくは労力提供の冥加もあった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「冥加金」の解説

冥加金
みょうがきん

江戸時代,幕府・諸藩から特に営業を許された商工業者などの上納金
各種の商工業・漁業や株仲間から保護や特権に対するお礼として幕府・諸藩に納めた献金であるが,のちには定率で年々賦課され一種の租税と化した。

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百科事典マイペディア 「冥加金」の意味・わかりやすい解説

冥加金【みょうがきん】

運上・冥加

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世界大百科事典(旧版)内の冥加金の言及

【株仲間】より

…このときの仲間は,それまでの私仲間とは関係なく,問屋ないしそれに類似した商いをしているとみなされた者を網羅するという趣旨で結成されたが,実際にはそれまであった仲間を考慮して編成された。株数の固定や冥加金(みようがきん)上納の義務はなかったが,諸商品の入津量や地方への移出高,あるいは価格についての報告書を提出するなど,幕府の流通統制に関係した。
[発展と変質]
 18世紀後半になると,商品生産の進展により,それまでの流通経路によらぬ売買がさかんとなったことから,問屋や仲買層は公的権力により流通に関する特権の保証を求めるようになる。…

【冥加】より

…この場合,冥加は一定の年限を限って賦課される例が多く,短いのは1,2年,長い場合は7年や10年のものもあり,満期になると再び願い出て鑑札の再交付を受けて営業の継続と冥加の上納を命ぜられた。冥加の上納にあたっては冥加金,冥加銀として金納を原則としたが,ときには米または物品を納入した。職人などは冥加つとめと称して無料で領主に奉仕し,あるいは人足などを提供した。…

※「冥加金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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