凝結(読み)ぎょうけつ(英語表記)coagulation

翻訳|coagulation

精選版 日本国語大辞典 「凝結」の意味・読み・例文・類語

ぎょう‐けつ【凝結】

〘名〙
① 液体、または気体中に分散している微粒子が、集合して大きな粒子となって沈殿する現象。また、広く、液状または粒状の物質が集まり固まること。凝固。凝集。
※元和本下学集(1617)「磤馭盧島 ヲノコロシマ〈略〉潮沫自然凝結(ゲウケツ)島 故自凝島也」 〔淮南子‐原道訓〕
面影(1969)〈芝木好子〉一「内側の静まりや女らしさを、こんなにも凝結して表現したことに」
③ (比喩的に) 感情や考えなどがこり固まること。こり固まってある状態を作り上げること。また、そのこり固まったものや状態。
※国会論(1888)〈中江兆民〉「凡そ保守旨義の人物が寄り聚(あつ)まりて内閣を凝結(ゲウケツ)するの時に在りては」
※こゝろ(1914)〈夏目漱石〉中「今迄ざわざわと動いてゐた私の胸が一度に凝結(ギョウケツ)したやうに感じた」

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デジタル大辞泉 「凝結」の意味・読み・例文・類語

ぎょう‐けつ【凝結】

[名](スル)
凝縮ぎょうしゅく2」に同じ。
コロイド溶液電解質を加えると、コロイド粒子が大きくなって沈殿する現象。凝固。凝析。
感情や考えがこりかたまること。
「私の思いは、ただ一点に向かって―されていたのである」〈太宰・チャンス〉
[類語]凝縮凝固固まる固める固結する固化する膠化こうかするこごる強張る踏み固める地固めする凝り固まる根締め収縮萎縮縮小縮み短縮濃縮圧搾圧縮縮める

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「凝結」の意味・わかりやすい解説

凝結
ぎょうけつ
coagulation
flocculation
condensation

液体または気体中に分散しているコロイドのような微粒子が集合して、より大きい粒子をつくり沈殿することをいう。凝集、凝固、凝縮などと同義に使われ、とくに凝縮と同義に用いることが多い。凝析ともいう。

 ゾルに電解質を加えると、コロイド粒子反対符号のイオンが吸着して、粒子の電荷が中和されるため凝結がおこる。このときイオンの価数が大きいほど凝結の効果は大きい。一定時間内でコロイドを凝結させるのに必要な電解質の量を凝結価あるいは沈殿価という。

 ゾルの凝結は、ゾルを凍らせた場合とか、2種のゾルを混合した場合などでもみられる。また、タンパク質のようなものは熱すると凝結(熱凝結という)する。硫化ヒ素ゾルと水酸化鉄ゾルのように反対の電荷をもつ2種の疎水コロイドを混ぜると互いに凝結をおこす。しかし疎水コロイドに親水コロイドを加えて安定なコロイドを得る方法もある。これを保護コロイドという。

[吉田俊久]

気象

大気現象としては、大気中の水蒸気が水に変わることで、地物の表面で凝結して露となり、空間で凝結して霧や雲となる。空気中に含まれる水蒸気量は普通、水蒸気圧で表される。その含みうる上限は温度によって定まり、飽和水蒸気圧で表される。温度が低いほど飽和水蒸気圧は低い。したがって一定の水蒸気量を含む空気塊の温度が下がれば、水蒸気圧はいずれは飽和値に達し、温度がさらに下がれば、含みきれなくなった分だけ水蒸気が液相に変わる。これが露、霧、雲である。

 空気塊の温度を下げることになるもっとも重要な現象は、その空気塊の上昇である。気流が山岳に当たれば上昇する。また冷気塊と暖気塊とが衝突すれば、暖気塊は冷気塊の上にはい上がる。大気は上空ほど気圧が低いので、上昇気塊は膨張しそのために温度が下がる。上昇途中で水蒸気が飽和値に達する高度を凝結高度という。したがって凝結高度は雲底の高さに相当する。山頂部に雲がかかったり、低気圧に伴う前線上に雲を生ずるのはこの理由による。気塊中に含まれている水蒸気量が少ないほど、凝結高度は高い。

[三崎方郎]

『高橋劭著『雲の物理――雲粒形成から雲運動まで』(1987・東京堂出版)』『武田喬男著『水循環の科学――雲の群れのふるまい』(1987・東京堂出版)』『北原文雄・古沢邦夫著『最新コロイド化学』(1990・講談社)』『北原文雄著『界面・コロイド化学の基礎』(1994・講談社)』『森山登著『分散・凝集の化学』(1995・産業図書)』『二宮洸三著『豪雨と降水システム』(2001・東京堂出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「凝結」の意味・わかりやすい解説

凝結 (ぎょうけつ)

(1)蒸気の凝結condensation 凝縮ともいう。飽和蒸気を冷却したり定温で圧縮したりするとき,蒸気の一部が液化する現象。ふつうは空間に浮遊する微小なちりやイオンなどを核にして液滴が生ずることによって始まる。雲の発生などにかかわりのある,大気中の水蒸気の凝結の中心となる吸湿性の微粒子を凝結核と呼ぶが,これは直径10⁻5~10⁻4cm程度の燃焼生成物および海水のしぶきが乾燥してできる食塩微粒子などである。凝結核がない場合には,転移温度以下(あるいは転移圧力以上)になっても凝結は起こらず,過飽和状態になる。これは液化が一次相転移であって,温度を下げたり圧力を増したりしても,気体状態(気相)が熱力学的な準安定状態として存在しうるためである。ただし過飽和の蒸気は,外部からの刺激をきっかけに凝結を始めることがある。蒸気が冷たいガラスなどに触れて物体の表面に凝結する現象は結露と呼ばれる。蒸気が凝結して,同温の液体になるときには熱を放出するが,これを物質の単位質量(1g,1kg,または1mol)当りで表したものを凝縮熱と呼ぶ。凝縮熱の大きさは気化熱に等しい。
執筆者:(2)コロイドの凝結coagulation コロイド粒子が凝集し大きな粒子となる現象。凝析ともいう。これによってゾルは濁り,粒子は沈殿するようになる。凝結を引き起こす原因としては電解質や他のゾルの添加,熱などがある。一般に疎水コロイドは電解質の添加により容易に凝結するが,親水コロイドは安定である。凝結を起こす電解質の最小濃度を凝結価という。親水コロイドは,分散粒子がもつ同種の荷電間の静電的反発力により凝結せず安定化されているので,電解質の添加により粒子と反対荷電をもつイオンの吸着により安定性を失い凝結する。多価イオンほど凝結を引き起こしやすく,凝結価が小さい(シュルツェ=ハーディーの法則)。これらの現象はデルヤーギン=ランダウ=バーバイ=オーバービークの安定性理論(4人の頭文字をとってDLVO理論ともいう)によって定量的に成立することが示されている。疎水コロイドに親水コロイドを加えることにより,疎水コロイドを親水コロイドが包んでその安定性が高くなることがある。これを保護作用といい,加えた親水コロイドを保護コロイドという。例えば墨汁においては,“にかわ”が保護コロイドとして働いている。
コロイド
執筆者:

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百科事典マイペディア 「凝結」の意味・わかりやすい解説

凝結【ぎょうけつ】

(1)凝縮と同義。(2)コロイド溶液に電解質を加えるとき,コロイド粒子が凝集して大きな粒子になって沈殿する現象。疎水コロイドは微小量の電解質で凝結を起こすが,親水コロイドはかなり多量に加えないと凝結しない。→凝結核凝縮器凝縮熱
→関連項目ペプチゼーション

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普及版 字通 「凝結」の読み・字形・画数・意味

【凝結】ぎようけつ

凝固。〔淮南子、原道訓〕先んずるは~弓矢の質なり。~謂(いはゆる)後るるとは、其の底滯(ていたい)して發せず、凝結してれざるを謂ふに非ず。其の數に(かな)うて、時に合するを貴ぶなり。

字通「凝」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「凝結」の意味・わかりやすい解説

凝結
ぎょうけつ

(1) coagulation; flocculation 凝析ともいう。液体または気体中に分散している微粒子が集り,大きな粒子をつくる現象,またはそれによって沈殿する現象。この現象はろ過,沈殿濃縮,重力沈降,遠心分離,集塵などの分離操作に応用される。
(2) setting 水和硬化性セメント類に水を加えると,水和反応が起り,流動性が失われる現象。
(3) condensation 気体が冷却または加圧されて液体となる現象。凝縮に同じ。

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岩石学辞典 「凝結」の解説

凝結

凝固(condensation)と同じに用いられる.凝結は凝結(coagulation)の意味で使用される.coagulationとは液体または気体中に分散している微粒子が集合して大きな粒子を作る現象をいう[片山ほか : 1970].

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栄養・生化学辞典 「凝結」の解説

凝結

 →凝集

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世界大百科事典(旧版)内の凝結の言及

【コロイド】より


【コロイドの種類】
 金や銀のコロイドなど多くの無機物のコロイドは少量の電解質の添加により凝集し沈殿する。これを凝結という。凝結しやすいコロイドを疎水コロイドhydrophobic colloid,あるいは一般的に疎液コロイドlyophobic colloidという。…

【水蒸気】より

…表1に水蒸気の物理定数を,表2に種々の温度の水(0℃以下のときは氷)の飽和水蒸気圧を示す。
[水蒸気の凝結]
 水蒸気の圧力がその温度での飽和水蒸気圧より高いと(このとき水蒸気は過飽和の状態にあるという),その一部は凝結(凝縮)して水となる。しかし,水蒸気やそれを含む空気が清浄で凝結核がないとき,すなわちその上に水蒸気が水として付着し,水滴として成長していけるような微粒子を含まないときには,凝結は起こりにくくなる。…

※「凝結」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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