凡夫(読み)ボンプ

デジタル大辞泉 「凡夫」の意味・読み・例文・類語

ぼん‐ぷ【凡夫】

《「ぼんぶ」とも》
《〈梵〉pṛthag-janaの訳》仏語。愚かな人。仏教の教えを理解していない人。異生いしょう
平凡な人。普通の人。凡人
[類語]凡人只者常人凡骨凡才凡手

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精選版 日本国語大辞典 「凡夫」の意味・読み・例文・類語

ぼん‐ぷ【凡夫】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] pṛthag-jana の訳語。古くは「ぼんぶ」 )
  2. 仏語。仏教の道理をまだ十分理解していない者。小乗では初果にいたらない前、大乗では初地(しょじ)にいたらない前をいう。異生
    1. [初出の実例]「釈曰、〈略〉則菩薩勝於凡夫、故云除諸菩薩也」(出典法華義疏(7C前)一)
    2. [その他の文献]〔梵網経‐上〕
  3. 平凡な人。普通一般の愚かな人。
    1. [初出の実例]「未凡夫懦士之能当此任以遺其名矣」(出典:菅家文草(900頃)九・請罷蔵人頭状)
    2. [その他の文献]〔曹植‐任城王誄〕
  4. 無学な人。文字を知らず、品位のない人。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「凡夫」の意味・わかりやすい解説

凡夫
ぼんぶ

ぼんぷ」ともいう。サンスクリット語プリタクジャナpthagjanaの訳。愚かな者、無知な者、凡庸(ぼんよう)な人、一般の人のこと。また仏教で説く四つの真実(四諦(したい))の道理を理解せず、煩悩(ぼんのう)に迷わされている者のこと。阿羅漢(あらかん)などの聖者に対して、いまだ悟りを得ていない人の総称地獄餓鬼(がき)、畜生(ちくしょう)、阿修羅(あしゅら)、人間、天上の六道(ろくどう)に輪廻(りんね)する者をいうこともある。

[池田練太郎]

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普及版 字通 「凡夫」の読み・字形・画数・意味

【凡夫】ぼんぷ

凡人。魏・曹冏〔六代論〕始皇~身死するの日に至りて、寄付する無し。天下重き夫の手に委(ゆだ)ね、廢立の命を姦臣の口に託す。

字通「凡」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「凡夫」の意味・わかりやすい解説

凡夫
ぼんぷ

仏教用語。愚かな煩悩を断じていない衆生をいう。サンスクリット語ではプリタクジャナ pṛthag-janaといい,必栗託きつ那 (ひつりったきつな) と音写され,異生 (いしょう) と漢訳される。異生とは,種々の煩悩によって種々な業果を受け,種々な世界に生じるという意味である。部派仏教でも大乗仏教でも聖者となる以前の段階を凡夫と呼んでいる。

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世界大百科事典(旧版)内の凡夫の言及

【僧】より

…習禅をもっぱらとする者)などの別があった。また,修行向上の度合に応じて凡夫と聖人(しようにん)に分けられる。聖人位はさらに阿羅漢を最高位とする四向四果の八位に分けられる。…

【仏教】より

…一般に禅定の修行により悟るのは難行であるので,機根の劣るものは信によることを勧めるが,大乗では仏の慈悲力で,信のみでも救済されると教える。修行者は修行の段階に応じて,凡夫(ぼんぶ)と聖人(しようにん)に分けられる。聖人は準備的修行(加行(けぎよう))を終えて四諦の理を観じて見道に達したもの以上で,その後究極的完成まで修行を続けることが要請される。…

※「凡夫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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