分つ(読み)ワカツ

デジタル大辞泉 「分つ」の意味・読み・例文・類語

わか・つ【分(か)つ/別つ】

[動タ五(四)]
一つのものを離して二つ以上にする。別々にする。分ける。「軍勢二手に―・つ」
(「頒つ」とも書く)それぞれに分けて配る。分配する。「希望者には実費で―・つ」
見分けて決める。判断する。「理非を―・つ」「黒白を―・つ」
仕切る。区別する。「昼夜を―・たぬ突貫工事
同じ感情をお互いに持ち合う。「悲しみを―・つ」
(「たもとをわかつ」の形で)人と別れる。また、同じ行動をしてきた仲間と縁を切る。「僚友と袂を―・つ」
[類語]配る離す分ける配分する分配する分与する案分する折半する山分けする

あか・つ【分つ/頒つ】

[動タ四]
分かち配る。あちこちに割り当てる。
はたの民―・ち、臣連おほむらじ等おのおのねがひのままに」〈前田本雄略紀〉
分けて派遣する。
駅使はゆまづかひ四方よもに―・ちて」〈・中〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「分つ」の意味・読み・例文・類語

わか・つ【分・別】

  1. 〘 他動詞 タ行五(四) 〙
  2. 別々に離れさせる。また、分割する。わける。
    1. [初出の実例]「斎食の時毎に、飯を拆(ワカチテ)烏に施し〈真福寺本訓釈 拆 部之天 又云和加知天〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
    2. 「不比等のおとどの男子二人又御弟二人とを四家となづけて、みな門わかち給へりけり」(出典:大鏡(12C前)五)
  3. 区域・所属・役割などを別にする。区分する。区別する。わける。
    1. [初出の実例]「宮つかささふらふ人々みな、手をわかちてもとめ奉れども」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「一身をわかちて、二の用をなす」(出典:方丈記(1212))
  4. わけて配る。無償または有償でわけ与える。わける。
    1. [初出の実例]「四十寺にきぬ四百疋をわかちてせさせ給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. 「侍共に国々を分ち給べし」(出典:延慶本平家(1309‐10)二末)
  5. 判断して見分ける。違いをはっきりわきまえる。
    1. [初出の実例]「あさか山のあとをたづねて、深き浅きをわかてり」(出典:新古今和歌集(1205)仮名序)
    2. 「ゼヒヲ vacatçu(ワカツ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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