分身(読み)ブンシン

デジタル大辞泉 「分身」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐しん【分身】

《古くは「ふんじん」とも》
一つ本体が二つ以上に分かれること。また、その分かれて生じた身。「息子自分分身を見出す」
仏・菩薩ぼさつが人々を救うために、仮の姿でこの世に現れること。また、その姿。観音三十三身など。化身

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精選版 日本国語大辞典 「分身」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐しん【分身】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「ふんじん」とも )
  2. 仏語仏菩薩衆生を救済するために身を分かち、仮の姿をとってこの世に現われること。また、その現われたもの。化身。権化(ごんげ)
    1. [初出の実例]「何知如来分身。或是法雲大士」(出典:勝鬘経義疏(611)序)
    2. [その他の文献]〔景徳伝燈録‐二七〕
  3. 一つの身体やものが二つ以上に分かれること。また、その分かれた身体やもの。
    1. [初出の実例]「十方に分身して、万卒に同く相当りければ」(出典:太平記(14C後)一〇)
    2. [その他の文献]〔蘇軾‐次韻黄魯直書伯時画王摩詰詩〕
  4. から転じて、子を生むこと。また、その子。
    1. [初出の実例]「辛苦を忍んで分身(ブンシン)の日を待たんには」(出典花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二七)

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普及版 字通 「分身」の読み・字形・画数・意味

【分身】ぶんしん

一個の身から分かれ出た人。宋・軾〔黄魯直の、伯時の画く王摩詰に書すに次韻す〕詩 詩人と畫手と 春秋に方(なぞら)ふ る兩(ふたつ)ながら皆是にして 身來りて入りるるを

字通「分」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分身」の意味・わかりやすい解説

分身
ぶんしん
double; Doppelgänger

自分自身の姿が外界に見える幻覚自己像幻視 autoscopyともいう。等身大あるいは縮小形で現れ,短時間で消えるが,実在感は確実に残るという。哲学・心理学者 K.ヤスパースは,これを意識病態としてとらえた。精神病などの症状として現れるほか,ゲーテ『詩と真実』,ドストエフスキー『分身』などにみられるように,文豪の作品にも自己体験として描かれている。二重人格は女性に多く,分身は男性に多く起る。

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デジタル大辞泉プラス 「分身」の解説

分身

東野圭吾の長編サスペンス小説。1993年刊行。

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世界大百科事典(旧版)内の分身の言及

【ドッペルゲンガー】より

…ある人と瓜二つの人のこと。ドイツ語圏の〈ドッペルゲンガー(二重身)〉のほか,英米圏では〈ダブルdouble〉,中国では〈離魂〉または〈離魂病〉,日本では〈分身〉〈影法師〉〈影の病〉〈影の煩い〉などの名で,神話,伝説,迷信などに古くから登場し,霊魂が肉体から分離して有形化したものとか,二重身の出現はその人物の死の前兆などと信じられた。たとえば,中国には次のような話がある。…

※「分身」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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