分類学(読み)ぶんるいがく(英語表記)taxonomy

精選版 日本国語大辞典 「分類学」の意味・読み・例文・類語

ぶんるい‐がく【分類学】

〘名〙 生物学の一分科。化石をも含め、系統相互の類似関係にもとづいて、種、科などを識別し、体系化する学問。〔生物学語彙(1884)〕

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デジタル大辞泉 「分類学」の意味・読み・例文・類語

ぶんるい‐がく【分類学】

生物を形態生理などの関連や系統的なつながりに基づいて整理し、各種間の相互関係研究する学問分野。

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百科事典マイペディア 「分類学」の意味・わかりやすい解説

分類学【ぶんるいがく】

生物のを区別し,類似した形質を手がかりにさまざまなレベルのグループに統合し,それらの類縁関係を解明する学問。古くはアリストテレス分類などがあるが,画期的な発展二名法学名)を確立したリンネ以後。生物間の進化的な類縁を反映した分類体系を系統分類というが,現在では分岐分類学と分子系統学が代表的なものである。
→関連項目生物学

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分類学」の意味・わかりやすい解説

分類学
ぶんるいがく
taxonomy

生物学の一分科。分類と分類学という用語を区別するならば,前者は,多種類の生物の種を妥当な仕方命名,整理して一つの体系にまとめるのが課題であり,後者は,この分類の仕方を理論的に問題とする分野ということになるが,実際は分類学という語に,分類の仕事の内容そのものも含ませて考える。分類作業の基準は,初期には外見上の形態的特徴による分類から始って,習性による分類,進化の系統による分類へと発展してきた。現在では蛋白質分子レベルでの知識 (ことにアミノ酸配列) なども分類の手掛りに取入れられる一方,多項目の分類指標の合致,不一致をコンピュータなどで処理して客観化を目指す数量分類学 numerical taxonomyの立場もある。

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知恵蔵 「分類学」の解説

分類学

多様な生物を共通の属性に基づいてグループ分けする生物学の一分野。C.フォン・リンネに代表される伝統的分類学では外見的な特徴(形質)をもとに種に名前を付け、類似性をもとに上位の分類群にまとめていく方法がとられる。C.ダーウィン以後、進化の過程を反映した系統分類学が求められるようになるが、伝統的な手法では学者の主観によって体系が異なる欠点があり、1960年代から分類形質としてチトクロムやDNAなどの生体分子を用いる分子系統学が盛んになる。系統関係の導き方については、W.へニックらによって分岐分類学が提唱されているが、これは形質を派生形質と原始形質に分け、共有派生形質をより多くもつものを近縁とする方法。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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世界大百科事典 第2版 「分類学」の意味・わかりやすい解説

ぶんるいがく【分類学 taxonomy】

多様な生物を,それらが分化してきた歴史的過程にしたがって体系づけるための研究を主眼とする生物学の一分野。生物は40億年ほど前に地球上に発生したと考えられ,それ以来,地球上の環境の変遷にも対応しながら進化をくり返し,現在みられるように,200万種をこえるほどに多様化してきた。生命の特性のうち,その歴史性が具体的に表現されているのが生物の多様性であるが,生物の多様性は,進化の過程を反映した秩序のあるもので,定まった体系にまとめあげうるものである。

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世界大百科事典内の分類学の言及

【系統分類学】より

…このような生物の系統発生にもとづいた分類をすることを目的とする分野を系統分類学という。なお,単に分類学taxonomyという場合にも,系統分類を志向したものをいうし,系統学systematicsという場合も地質時代における系統をあとづける手がかりとして現生生物の比較研究を重視することになるので,系統分類学と本質的な差は認められない。【岩槻 邦男】。…

【系統分類学】より

…このような生物の系統発生にもとづいた分類をすることを目的とする分野を系統分類学という。なお,単に分類学taxonomyという場合にも,系統分類を志向したものをいうし,系統学systematicsという場合も地質時代における系統をあとづける手がかりとして現生生物の比較研究を重視することになるので,系統分類学と本質的な差は認められない。【岩槻 邦男】。…

【形態学】より

…ギリシア文明が衰えたあと,長い中世の停滞期を経て近世に入ると,博物学の復興が起こる。次いで,西洋諸国の植民地が世界に広がり,珍奇な動植物がそれぞれの本国へもたらされるにつれて,数多くのナチュラリストたちによる生物界の整理,すなわち分類学が盛んになる。そして18世紀中葉にリンネによって近代的分類学の基礎が固められた。…

【系統分類学】より

…そこで,生物を分類することは,生物が40億年の進化の歴史のうちでどのように分化発展してきたかをあとづけることに生物学的な意味がある。このような生物の系統発生にもとづいた分類をすることを目的とする分野を系統分類学という。なお,単に分類学taxonomyという場合にも,系統分類を志向したものをいうし,系統学systematicsという場合も地質時代における系統をあとづける手がかりとして現生生物の比較研究を重視することになるので,系統分類学と本質的な差は認められない。…

【名】より

…それは名の存在以前にすでにそれをそれと認めていることを物語る。そして,実はこのことを基礎として生物の分類学は成立しているのである。また,いわゆる未開の人々の動物や植物の名付け方には,世界中を通して驚くほどの相似性が認められるのもこのゆえである。…

※「分類学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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