鉄道において停車場外の線路を運転させる目的で組成された一連の車両のこと。主として安全性確保の面から、列車が満たすべき条件がいくつか定められている。牽引(けんいん)定数、ブレーキ距離、ブレーキ軸割合、列車長などが基準内であること、許される最高速度などがそれである。
列車は、その目的から旅客列車、荷物列車、混合列車、特殊列車、貨物列車、単行機関車列車に分類される。旅客列車は、さらに特別急行、普通急行、普通列車に、また貨物列車は、高速貨物、直行貨物、快速貨物、専用貨物、普通貨物、解結貨物に分類され、最高速度も、その性格によっておのずと異なったものとなっている。特殊列車には、お召列車、試運転列車、工事列車、排雪列車などが含まれる。また列車は、運転期間により定期列車と不定期(季節、臨時)列車とに分類され、動力方式の面で分類すると、電車列車、ディーゼル動車列車、機関車(電気、ディーゼル、蒸気)牽引列車の3種類がある。利用の形態からみれば、昼行、夜行、長距離、中距離、短距離、通勤、通学、行楽などに分けることもできる。
[土田 廣]
列車番号はその列車の名前ともいうべきもので、すべての列車には番号が付され、それによってその列車のおおよその性格を知ることができる(ただし、お召列車と御乗用臨時列車には列車番号をつけないことになっている)。JRグループでは列車番号の付け方の標準を定めている。これによると、列車番号には1~4桁(けた)の数字を用い、その末尾に電車列車ならばM、ディーゼル動車列車ならばDを付す。東海道・山陽新幹線ではA、東北、上越新幹線ではそれぞれB、C、また通勤線区の旧国電にはH、K、S、Tなどを用いているところもある。上り列車には偶数、下り列車には奇数の列車番号を割り当てるのが原則である。
また旅客列車には10位以下の数字が0~49、貨物列車には10位以下の数字が50~99の数字を用いる(旧国電区間では例外もある)。そのほか、線区、系統、季節、臨時の区別を表すために1000台の数字を用いる(千位の数字が6、7は季節、8、9は臨時など)。列車番号は輸送管理上、非常に重要であるため、同一駅に同一番号の列車が発着するということが絶対に起こらないように定められている。
[土田 廣]
鉄道運転規則によれば〈列車とは停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両をいう〉と定められている。したがって停車場外の線路を運転させる目的をもたないものは,まったく同じような車両であっても単なる車両にすぎない。停車場外の線路を運転する目的であれば,車両数に関係なく,動力車単独でもそれ自体で列車になりえ,単行機関車列車がその例である。列車にはその性質,目的,運転時期,使用動力車等によっておおむね次のようにわけられる。
(1)用途による分類 (a)営業列車(運賃を収受して一般の旅客,貨物を輸送する営業用の列車),(b)事業用列車(鉄道自体の業務用の必要上運転する列車で工事列車,試運転列車,排雪列車,配給列車,救援列車等)。
(2)運転目的による分類 (a)旅客列車,(b)貨物列車,(c)荷物列車,(d)工事列車(工事用資材を運搬するための列車),(e)試運転列車(新製車両,修繕完了車両等の性能を試験する列車),(f)回送列車,(g)排雪列車,(h)雪捨列車,(i)救援列車,(j)配給列車,(k)お召し列車。
(3)運転時期による分類 (a)定期列車(毎日運転するよう計画された列車),(b)季節列車(運転期日を定めないで必要のつど運転する列車,および運転しない日または運転する日をあらかじめ定めて運転する列車),(c)臨時列車(季節的な波動に対して,定期季節列車の輸送力を補う目的で一時的に運転する列車)。
(4)速度,サービス・設備などによる分類 (a)特別急行(特急)列車,(b)急行列車,(c)普通列車,など。
(5)被けん引車両による分類 (a)客車列車,(b)貨物列車。
(6)動力種別による分類 (a)電車列車(電動車,付随車,制御車等で編成された列車),(b)気動車列車(気動車により編成された列車)。
(7)その他列車の運転状態を表すものとして次のようなものがある。(a)先行列車(2以上の列車が同一線路を同一方向につづいて運転するとき,先に運転する列車),(b)続行列車(先行列車に対し,後につづく列車),(c)先発列車(停車場から同一方向につづいて2以上の列車を出発させるとき,先に出発させる列車),(d)単行機関車列車(機関車だけで運転する列車)。
→鉄道車両
執筆者:河田 譲次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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