別れ(読み)ワカレ

デジタル大辞泉 「別れ」の意味・読み・例文・類語

わかれ【別れ】

別れること。互いに離れて別々になること。別離。「友との別れを惜しむ」「別れの日を迎える」「別れの杯」
別離のあいさつ。いとまごい。「故郷別れを告げる」「別れ言葉
死に別れ。死別。「なが別れ
「世の中にさらぬ―のなくもがな千世もと祈る人の子のため」〈伊勢・八四〉
立ち去るにあたって、心付けとして与える金銭
「―に七百くだんせ」〈滑・膝栗毛・五〉
[補説]書名別項。→別れ
[下接語]暁の別れ生き別れ・扇の別れ・更衣きさらぎの別れ食い別れ喧嘩けんか別れ子別れ逆さ別れ四鳥しちょうの別れ死に別れついの別れ永の別れ泣き別れ夫婦別れ物別れ行き別れ別れ別れ
[類語]別離離別決別一別生き別れ泣き別れ生別離れる

あかれ【別れ/散れ】

集まっていた人々が、あちこちにわかれ散ること。散会
弘徽殿こきでんの御―ならむ、と見給へつる」〈・花宴〉
所属するもの。ぶん
桜萌黄さくらもえぎなどは、女院の御―」〈増鏡・老のなみ〉

わかれ【別れ】[書名]

原題、〈ドイツ〉Abschied》ドイツの詩人ベッヒャーによる自伝小説著者がソ連に亡命していた1940年に刊行

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「別れ」の意味・読み・例文・類語

わかれ【別・分】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「わかれる(分)」の連用形の名詞化 )
  2. ある人から離れて立ち去ること。別離。
    1. [初出の実例]「昔より言ひける言(こと)の韓国の辛くも此処に和可礼(ワカレ)するかも」(出典:万葉集(8C後)一五・三六九五)
    2. 「山さきにてわかれ惜しみける所にてよめる」(出典:古今和歌集(905‐914)離別・三八七・詞書)
  3. 死別すること。
    1. [初出の実例]「あねの身まかりにける時によめる せをせけばふちとなりてもよどみけりわかれをとむるしがらみぞなき〈壬生忠岑〉」(出典:古今和歌集(905‐914)哀傷・八三六)
  4. 人の、別れる挨拶。いとまごい。→わかれを告げる
  5. 一つのもとから分かれ出たもの。分派分家などの類。わかり。
    1. [初出の実例]「加賀の国に御(おは)する熊田の宮と申す社は、我が別れの御する也」(出典:今昔物語集(1120頃か)二六)
    2. 「千葉之助さまの御分知(ワカレ)の、千葉半之丞さまといふおやしきへ」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)四)
  6. その場から立ち去る時、ある事の決着をつけるために心付けなどとして与える金銭。
    1. [初出の実例]「わかれに七百くだんせ」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五)
  7. 物事に決着がつくこと。終わること。
    1. [初出の実例]「いか程わざを尽したり共、勝負のわかれに成て」(出典:洒落本・魂胆惣勘定(1754)中)
  8. ( 分 ) 取引市場で、損失利益もなく売買を解約することをいう。

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