デジタル大辞泉 「利益」の意味・読み・例文・類語
り‐えき【利益】
1 事業などをして得るもうけ。利潤。「
2 得になること。益になること。
「遥に労働者を―するに足るだろう」〈魯庵・社会百面相〉
[類語](1)
「利益」には、漢音のリエキと呉音のリヤクの二つの読みがある。古くは仏典とかかわるリヤクの方が普通だったと思われるが、中世にはリエキが現われる。近代に至って、リエキに、宗教的意味合いを離れた経済的意味が定着する。
②の意味は、リエキの使用が多くなるにつれリエキに吸収された。その結果、リヤクは現代では①の意味ではゴリヤクという語形でしか使用されなくなった。→「りえき(利益)」の語誌
一般的には,利益とは資本の運用益をいい,元本に対する果実に相当し,期間的に把握される。ある期間の利益は,期首と同じ資本を維持したうえで,期間中に消費しうる最大の額と定義される。企業会計が対象とする企業の利益は,出資者の資本を維持したうえで,出資者に分配しうる額を意味し,その期間中に出資者の新たな追加出資および出資の払戻しがないかぎり,期末の資本から期首の資本を控除することによって計算される。会計計算上は,資本は資産マイナス負債で純財産とも呼ばれるので,利益は期末純財産から期首純財産を差し引くことによって計算される。このような計算は,2時点における資本の在高(ストック)に着目したもので,一般的に用いられるものである。しかし,ストックの増加は,なんらかの増加要因によるから,その要因に着目するとフローの側面から利益計算ができる。その側面から,利益は,増加要因である収益から減少要因である費用を差し引くことによって計算される。この場合,収益は企業活動の成果で,商品の販売や役務の提供により得られる収入であり,費用は活動に伴う価値犠牲で,商品や役務の生産に要した原材料や労働用役,およびそれらの管理や販売に要した諸経費の支出である。
今日の企業会計は,維持すべき資本を出資者の投下貨幣額とし,それを超えて回収した貨幣余剰額を利益とする仕組みになっており,その額は収益に費用を対応させる方式で計算している。こうして求められた利益は,その期間の企業の活動成果を示すため,それを表示する損益計算書が重視され,様式などに規制が加えられる。ちなみに,損益計算書は,利益の源泉が重視され,売上総利益,営業利益,経常利益,当期純利益を区分表示するよう求められている。また利益は,処分可能という性格も有し,株主への配当等にあてられるため,違法配当がされないよう規制がなされる。日本の場合,株式会社については,商法290条1項にその規制条項がみられる。
執筆者:前田 貞芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
字通「利」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
仏教に従うことによって得ることのできる幸福・利益のこと。自分を益するのを功徳(くどく)、他を益するのを利益とよんで、自利と利他を分けることもある。この世で受ける利益を「現世(げんぜ)利益」(現益)、後の世で受けるものを「後世(ごせ)利益」(後益)という。密教ではこの世で利益を受けるために祈祷(きとう)をするが、浄土教では利益は自然に与えられるとされている。さらに真宗では、この世で生きているうちにすでに後の世で仏になることが定まっていることを現益、死後に浄土に生まれ成仏(じょうぶつ)することを当益という。俗には、病気を治し、寿命が伸び、金銭や名誉などを得ることを現世利益とよぶが、仏教では世間一般の名声や利欲を名利(みょうり)として厳しく退けている。
[松本史朗]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ごく形式的ないい方をすれば,事業の販売収入から原材料費,賃金,借入資金に対する利子などの費用を差し引いた残額が利潤である。このような会計学的な規定は一見すると単純明快であるが,実のところは必ずしもそうではない。というのは利潤と費用の境目は必ずしも明確だとはいえないからである。たとえば従業員に支払われるボーナスは費用としての側面をもつとともに,他方では利潤からの分配分だという側面もあわせもっている。また事業主の得る所得の中にも費用としての性格をもっているものが少なからず存在する。…
※「利益」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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