前説(読み)マエセツ

デジタル大辞泉 「前説」の意味・読み・例文・類語

まえ‐せつ〔まへ‐〕【前説】

無声映画で、上映前に弁士がその映画内容説明すること。
転じて、本題に入る前の説明。ぜんせつ。
テレビ公開番組劇場での舞台公演で、本番前に全体構成進行・注意事項などについて観客に説明すること。また、その役の人。

ぜん‐せつ【前説】

以前に唱えた説。「前説を翻す」
前人の説。「前説に異を唱える」
前に述べられている説。
本題に入る前の説明。まえせつ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「前説」の意味・読み・例文・類語

まえ‐せつまへ‥【前説】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 無声映画で、上映に先立って、弁士がその映画の内容を説明すること。転じて、すべて本題にはいる前の説明。
    1. [初出の実例]「楽隊に合せて出てくる事を前説(マヘセツ)といひまして、暗くなってからしゃべる事を中説」(出典漫談集(1929)漫談の漫談〈大辻司郎〉)
  3. テレビやラジオの公開番組で、観客に番組進行などについて事前に説明すること。また、その役の人。
    1. [初出の実例]「これは前説といって補助アナウンサーが街頭録音の趣旨を説明するのである」(出典:マイク余談(1948)〈藤倉修一〉街頭録音I )

ぜん‐せつ【前説】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 前に述べた説。また、二つあるうち、前の方の説。
    1. [初出の実例]「『コロンボス』は、終身前説を執拗して改めざりけり」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
    2. [その他の文献]〔宋史‐曾肇伝〕
  3. 前人の説。昔の人の説。〔宋書‐律志序〕
  4. 本題に入る前の説明。

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世界大百科事典(旧版)内の前説の言及

【プログラム】より

…【成沢 玲子】
[プログラムが持つ意味]
 かつての無声映画全盛時代,活動弁士として活躍した徳川夢声は,映画ではそれまでほとんど行われていなかったプログラムの作成・頒布というアイデアによって,大いにその声価を高めたといわれている。1917年(大正6),彼は東京・赤坂の葵館において,活弁の通例であった開映前の解説(=前説(まえせつ))を廃し,その代りに4ページ立ての解説プログラムを作成した。前説の多くは類型化し陳腐化していたから,この新しい試みは一種の〈知的な趣向〉として受け入れられ,また美文調ではない独特の語り口ともあいまって,夢声は大いにインテリ層の支持を集めることとなった。…

※「前説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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