(読み)ケン

デジタル大辞泉 「剣」の意味・読み・例文・類語

けん【剣】

両刃もろはの刀。また、広く両刃・片刃の区別なく大刀だいとうをいう。つるぎ。太刀たち
小銃の先につける短い刀。銃剣。
剣を使う術。剣術。「を学ぶ」
ハチやサソリの尾にある針。また、昆虫の雌の産卵管
紋所の名。剣をかたどったもの。三つ剣・六つ剣など。
[類語]つるぎ刀剣太刀大刀たち大刀だいとう名刀宝刀軍刀牛刀日本刀青竜刀サーベル銃剣手裏剣真剣短刀懐刀ふところがたな懐剣脇差し小柄匕首あいくちどす人斬り包丁快刀業物木刀木剣木太刀竹光長刀なぎなた小刀しょうとう

つるぎ【剣】

《上代は「つるき」とも》諸刃もろはの刀。また、刀剣の総称。けん。
[類語]けん刀剣太刀大刀たち大刀だいとう名刀宝刀軍刀牛刀日本刀青竜刀サーベル銃剣手裏剣真剣短刀懐刀ふところがたな懐剣脇差し小柄匕首あいくちどす人斬り包丁快刀業物木刀木剣木太刀竹光長刀なぎなた小刀しょうとう

けん【剣〔劍〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケン(呉)(漢) [訓]つるぎ
〈ケン〉
両刃の刀。つるぎ。「剣術剣舞懐剣撃剣銃剣真剣短剣刀剣木剣名剣利剣
剣を用いる武術。「剣客剣士剣道
〈つるぎ〉「剣羽剣太刀
[補説]「劒」「劔」は異体字。
[名のり]あきら・つとむ・はや
[難読]剣呑けんのん剣橋ケンブリッジ

つるぎ[列車]

北陸新幹線で運行されている特別急行列車愛称。平成27年(2015)運行開始。富山敦賀つるが間、または金沢・敦賀間を往復する。

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精選版 日本国語大辞典 「剣」の意味・読み・例文・類語

けん【剣】

  1. 〘 名詞 〙
  2. もともとは諸刃(もろは)の刺突用武器をいうが、広く両刃・片刃の区別なく大刀をいうことが多い。つるぎ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. 剣<b>①</b>〈武用弁略〉
      〈武用弁略〉
    2. [初出の実例]「これはむかし、高間の原にてわがおとしたりし剣(ケン)〈高良本ルビ〉なりとぞのたまひける」(出典:平家物語(13C前)一一)
    3. [その他の文献]〔史記‐樊噲伝〕
  3. 剣を使う技(わざ)。剣道。剣術。撃剣。〔荘子‐説剣〕
  4. 小銃の先につける槍の穂のような武器。銃剣。
    1. [初出の実例]「テッポウノ ken(ケン)」(出典:和英語林集成(再版)(1872))
  5. ハチなどの尻にある刺針。
  6. キリギリスウマオイクツワムシなどバッタ(直翅)目の昆虫の雌の腹部にある剣状の形をした産卵管。
  7. 紋所の名。剣をかたどったもの。三つ剣、六つ剣、三叉剣(みつまたけん)などの種類がある。
    1. 三つ剣@六つ剣
      三つ剣@六つ剣

つるぎ【剣・劔・劒】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「つるき」とも ) 刀剣の総称。後世では片刃の刀(太刀)に対して、諸刃(もろは)の刀の称。特にその切っ先が、ショウブの葉の先のようにとがっているもの。〔十巻本和名抄(934頃)〕

剣の語誌

( 1 )この語の「ぎ」には、上代「耆」〔書紀・神武即位前〕、「岐」〔古事記‐中・和名抄〕、「藝」〔古事記‐中〕、「伎」〔金光明最勝王経音義〕等の仮名が用いられている。いずれも甲類仮名であるが、清濁は両様かと思われる。
( 2 )「つるぎたち」などのように「たち」とともに用いられる例が多い。「たち」の一種とされたようでもあり、また「かたな」(片刃の太刀)に対する両刃の刀をさすともされるが、実際の関係はわからない。
( 3 )平安時代では、「つるぎ」「かたな」と「たち」とには訓読語と和文語という位相差が認められる。

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日本歴史地名大系 「剣」の解説


つるぎ

中世金剣きんけん宮の寺家・在家が発展した門前集落とされ、南の白山本宮の門前市をも含めて町場を形成していたと考えられる。「白山之記」・神官上道家系譜(白山比神社文書)白山本宮の三鳥居の所在が記され、内鳥居と中鳥居で区切られた地が中世の剣と想定される。この地は、現鶴来町市街のいま町・しん町・清沢せいさわ町・ほん町一―四丁目・日詰ひづめ町・知守ちもり町・ふる町・大国おおくに町・水戸みと町・水戸町二―四丁目・朝日あさひ町・上東かみひがし町・下東町に比定され、前掲系譜の記載から「寺中」ともよばれていたらしい。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「剣」の意味・わかりやすい解説


つるぎ

「けん」とも読み、左右相似形の両刃(もろは)の刀剣様式をいう。ただし高麗(こま)剣とか名剣などということばは、かならずしも左右相似形の剣を意味しない。また飾剣(かざたち)のように剣の文字を「たち」と読ませているものもある。わが国では武器としての剣は発達せず、片刃の太刀(たち)が主流である。また剣で長寸のものはごくまれで、剣の多くは仏教とくに密教で法具として用いられた三鈷柄(さんこづか)などのついたものである。寸法は短刀と同じく7~8寸(22~25センチメートル)のものが多く、鍛法は柾目鍛(まさめきた)え、直刃沸(すぐはにえ)づいた刃文となるものが多い。また室町時代には左右相似形をなさない変形両刃の短刀があるが、これは「両刃造(もろはづくり)短刀」と呼び習わしていて剣とはいわない。剣太刀ということばも刀剣と同義で両刃の剣のことではない。

[小笠原信夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「剣」の意味・わかりやすい解説


つるぎ

刀剣のうち両刃の刀をいう。敵を刺突,あるいは斬るのに用いる。古代には東西を通じて使われ,ヨーロッパではスウォードという。日本では古墳時代前期の出土品にみられるだけで,奈良時代に剣と呼ばれた高麗 (こま) 剣は片刃である。平安時代以降,剣は主として密教法具として用いられた。


けん

」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【青銅器】より


【ヨーロッパ,オリエント】
 東アジアの青銅器が祭祀具として発達したのにひきかえ,ヨーロッパや西アジアの青銅器は実用品が多い。銅や青銅などの初期の金属は,石にかわって斧,手斧(ちような),剣,短刀などの利器の素材として利用されたところから,銅器時代や青銅器時代を設定する根拠となった。青銅器時代の開始を,一般には前3000年前後に設定しているが,厳密にはこの年代の青銅器は知られていない。…

【刀剣】より

…刀は切るに便利な片刃の武器であり,剣は突くに便利な両刃の武器である。日本でも《和名抄》調度部征戦具に,刀は〈似剣而一刃曰刀〉,剣は〈似刀而両刃曰剣〉とあるように,片刃のものを刀,両刃のものを剣として,形体を区別するものであった。…

【日本刀】より

…日本固有の方法で製作された刀剣。日本刀という呼名は,日本画などと同様比較的新しく,ほぼ幕末以降のことである(中国での古い使用例としては宋代の欧陽修に《日本刀歌》の詩がある)。…

【尸解】より

…晋の葛洪(かつこう)の《抱朴子》では,現世の肉体のまま虚空に昇るのを天仙,名山に遊ぶのを地仙,いったん死んだ後,蟬が殻から脱け出すようにして仙人になるのが尸解仙であるとし,尸解仙を下位に置く。だが梁の陶弘景が完成した茅山派道教では,この尸解を登仙の方法として重視し,剣を身体の代りに現世に残して仙人となる剣解法を重んじた。段成式の《酉陽雑俎(ゆうようざつそ)》でも,宝剣を用いた尸解が尊ばれ,唐代における剣解の説の流行を示している。…

【大刀】より

…小氏の氏上には小刀(かたな)を賜う〉とあるのは,その例である。しかし,一方では大刀と書いて〈つるぎ〉と読むこともあって,記紀では大刀と剣との形の区別は厳密でない。また,古墳時代から奈良時代までの,主として直刀に属するものを〈大刀〉と書き,平安時代以降の外反り(そとぞり)刀を〈太刀〉の文字であらわすのが習慣であるが,考古学用語としては,古墳時代の内反りの素環頭(そかんとう)大刀も,便宜上〈大刀〉と書いている。…

【刀剣】より

…刀は切るに便利な片刃の武器であり,剣は突くに便利な両刃の武器である。日本でも《和名抄》調度部征戦具に,刀は〈似剣而一刃曰刀〉,剣は〈似刀而両刃曰剣〉とあるように,片刃のものを刀,両刃のものを剣として,形体を区別するものであった。…

【武器】より

…この点は,東アジアの青銅器文化が祭祀用具を中心としていたのと,際だった違いを見せている。オリエントやヨーロッパで,青銅器が最も活発につくられるのは,鉄器時代の初期であるが,このころまでに武器類にも種々の改良が加えられ,剣の主力は短剣から長剣へと変化し,また斧類がめざましい発達をとげている。時代はやや下るが,スキタイ族は三翼鏃を創出した。…

※「剣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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