割れる(読み)ワレル

デジタル大辞泉 「割れる」の意味・読み・例文・類語

わ・れる【割れる/破れる】

[動ラ下一][文]わ・る[ラ下二]
強い力が加わるなどして、固体がいくつかに分かれ離れる。こわれて細かくなる。「茶碗が―・れる」「卵が―・れる」「氷が―・れる」
裂け目ができる。また、傷がついて開いた状態になる。「地震で地が―・れる」「ぱっくりと―・れた額」
まとまっているもの、組織などが二つ以上に分かれる。分かれてまとまりがなくなる。分裂する。「意見が―・れる」「党が―・れる」「票が―・れる」
そろえた両膝の間が空く。「浴衣の膝が―・れて素肌が見える」
隠れていたものなどが現れる。秘密などが明らかになる。「底が―・れる」「身元が―・れる」「犯人(ほし)が―・れる」
音が濁って聞きとりにくくなる。「音が―・れる」
(「われるような」「われんばかりの」などの形で、比喩的に用いる)物事の程度がはなはだしいさまをいう。「場内―・れんばかりの拍手」「頭が―・れそうに痛い」
割り算で、余りのない答えがでる。わりきれる。「九は三で―・れる」
手形割引で現金化される。「手形が―・れる」
10 相場が下落してある値段以下になる。「株価が―・れる」
11 (「縦に割れる」の形で)野球の投球で、上下に大きく曲がるさまをいう。「―・れるカーブ
12 あれこれ思って心が乱れる。
「聞きしよりものを思へばが胸は―・れて砕けて利心とごころもなし」〈・二八九四〉
13 勝負がつかないままで終わる。引き分ける。
「―・れたるは半月の夜の相撲かな」〈伊勢踊
[下接句]御釜おかまが割れるしりが割れる底が割れる種が割れるねたが割れる面が割れる
[類語](1壊れる破損する毀損きそんする損傷する損壊する損ずるこぼれる欠ける傷付くひしげるつぶれる砕けるいかれるポシャる破れる/(3分かれる離れる外れる分離離脱分裂分解解体独立外す分ける分割四分五裂遊離隔たる遠ざかる遠のく離隔隔絶乖離かいり切り離す断ち切るちぎれる張り裂ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「割れる」の意味・読み・例文・類語

わ・れる【割・破】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]わ・る 〘 自動詞 下二 〙
  2. 力を受けて二つまたはいくつかの部分に分離され、全体の完結性を失う。
    1. (イ) 固形物体がいくつかの部分に分解する。
      1. [初出の実例]「法を聞きつる以後は(かひ)(ワレ)て出ぬるが如し」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
      2. 「ツボ、チャワンガ varuru(ワルル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. (ロ) 皮膚や爪、また板、地面などに割れ目ができる。
      1. [初出の実例]「夏も冬も手足におほきなるあかがりひまなくわれければ」(出典:平家物語(13C前)八)
  3. 事柄の全体が二つまたはいくつかの部分に分かれて、一体性を失う。
    1. (イ) 分割・区分けされる。
      1. [初出の実例]「瀬を早み岩にせかるる谷川のわれて末にもあはんとぞ思ふ〈崇徳院〉」(出典:詞花和歌集(1151頃)恋上・二二九)
    2. (ロ) 組織などが分裂する。人の間柄が不和になる。別れて対立する。
      1. [初出の実例]「クニガ varuru(ワルル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. (ハ) 勝負がつかないままで終わる。引き分けになる。
    4. (ニ) 座った両膝の間があく。
      1. [初出の実例]「たつは〈略〉、斜め横に倒れる。その膝が割れ、膝小僧が出てゐる」(出典:澪標(1960)〈外村繁〉)
  4. あれやこれやと思って、心が乱れる。
    1. [初出の実例]「聞きしより物を思へば我が胸は破(われ)てくだけて利心(とごころ)もなし」(出典:万葉集(8C後)一二・二八九四)
  5. 事の筋道が明らかになる。秘密があらわになる。犯人がわかる。ばれる。
    1. [初出の実例]「破れかぶれ、奥様に知らせ、いっそわれて出よふか」(出典:浄瑠璃・栬狩剣本地(1714)三)
    2. 「『あの晩の襲撃者は、もう判ったの』『おお、それが割れていれば、苦労はしないさ』」(出典:われら戦友たち(1973)〈柴田翔〉四)
  6. 数量の変動する事物で、数値がある目安の値以下になる。米相場で、相場が下落して、ある値段以下になる。
    1. [初出の実例]「譬へば相場弐匁五分で持合て居る時、三匁以上に成るを三匁抜けと言、弐匁以下に成たを割れると言」(出典:稲の穂(1842‐幕末頃))
  7. 女性が処女性を失う。また、初潮を見る。
    1. [初出の実例]「おどり子のばっかりいつかわれて居る」(出典:雑俳・川柳評万句合‐明和六(1769)松四)
  8. 花札で、一人が集めれば役になる札が、他の者に取られる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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