割愛(読み)カツアイ

デジタル大辞泉 「割愛」の意味・読み・例文・類語

かつ‐あい【割愛】

[名](スル)
惜しいと思うものを、思いきって捨てたり、手放したりすること。「紙数の都合で割愛した作品も多い」
公務員が、他の自治体や民間企業などへ籍を移すこと。また、大学の職員が、他大学へ籍を移すこと。手続きの形式上、移籍先が「人材を割愛してほしい」と申請することから。「割愛願い」「割愛申請書」
愛着気持ちを断ち切ること。恩愛煩悩ぼんのうを捨て去ること。
「―出家沙門、何ぞ世財をあらそはん」〈沙石集・九〉
[補説]1について、文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「説明は割愛した」を、「惜しいと思うものを手放す」と「不必要なものを切り捨てる」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。

平成23年度調査令和3年度調査
惜しいと思うものを手放す
本来の意味とされる)
17.6パーセント23.7パーセント
不必要なものを切り捨てる
(本来の意味ではない)
65.1パーセント65.3パーセント

[類語]省略略す略する省く間引く前略中略後略上略下略省筆はしょる約する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「割愛」の意味・読み・例文・類語

かつ‐あい【割愛】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 愛着の気持を断ち切ること。思い切ること。
    1. [初出の実例]「断臂たとひ容易なりとも、この割愛は大難なるべし」(出典:正法眼蔵(1231‐53)行持)
    2. [その他の文献]〔薛能‐三学山開照寺詩〕
  3. 惜しいと思いながらも省略したり捨てたりすること。また、惜しいと思いながら、相手に贈ること。
    1. [初出の実例]「実は此伊勢源に就ても頗る奇譚があるんだが、それは割愛して」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉六)
    2. [その他の文献]〔杜甫‐寄劉峡州伯華使君詩〕
  4. 養蚕で、交尾している雌雄の蛾を離すことをいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「割愛」の読み・字形・画数・意味

【割愛】かつあい

愛情をたちきる。忍んで思いきる。清・呉昌碩ゑて天を看るの図に自ら題す〕詩 裘を風の候に典し 愛して時に書を賣る

字通「割」の項目を見る

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