精選版 日本国語大辞典 「動脈」の意味・読み・例文・類語
どう‐みゃく【動脈】
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心臓から末梢(まっしょう)器官に向かう血管が動脈であり、心臓から排出される血液を流している。一般に動脈の中を流れる動脈血は、酸素を十分に含んだ血液である。しかし、肺動脈(心臓から肺臓に向かう動脈)に限ってはこの関係が逆になる。肺動脈の中の血液は、体内の不要な炭酸ガス(二酸化炭素)を吸収してきた静脈血であり、これを心臓が受け入れて肺臓に送り出している。つまり、心臓は肺動脈によって静脈血を肺臓へ送り、炭酸ガスと酸素の交換を行うわけである。
動脈は心臓から出るもっとも太い大動脈(直径約3センチメートル)から始まり、体中の組織や器官に分布するため、分枝しながらしだいに細くなる。この分枝の過程で、血管壁も同時に薄くなっていく。器官の中に入ると、動脈はさらに細かく分枝して細動脈(直径0.5ミリメートル以下)となり、ついには1層に配列した内皮細胞に囲まれた毛細血管となる。毛細血管網とは、細い管が網状構造となったものである。やがて、毛細血管はふたたび合して細静脈に移行する。動脈が体内を走る形式にはいろいろあるが、本来の動脈管に血行障害が生じたため、障害部分の近位部と遠位部とをつないでいる血管が拡張し、血行を促すようになるものを「側副血管」という。また、動脈の枝が互いに連絡交通しているのを「交通枝」あるいは「吻合枝(ふんごうし)」とよぶ。多数の枝に分枝して、互いに網目状に連絡する血管網を「動脈網」といい、この動脈網の立体的構造を「動脈叢(そう)」とよぶ。細動脈が毛細血管に分かれる前に、急に分枝して網状構造となる血管網を「怪網」という。腎臓(じんぞう)内の糸球体の血管網がこの例である。脳髄灰白質、肺臓、肝臓、脾臓(ひぞう)、腎臓、甲状腺(こうじょうせん)の動脈では、毛細血管になる前の細動脈は、互いに吻合をつくらない。これを「終動脈」とよぶ。終動脈に血行障害が生じると、その血管の分布区域の組織は変性をおこすこととなる。
毛細血管の壁は1層の内皮細胞層だけからなり、その直径の平均値は8マイクロメートルほどである。毛細血管のなかには、内皮細胞の壁に孔(窓)をもつものがある。これを有窓型または有孔型毛細血管という。この孔は、普通は細胞膜よりも薄い隔膜で閉ざされているが、胃、腸、内分泌腺などのように、組織液と血液との間において急速な物質交換が必要とされる組織にはよくみられる。毛細血管の表面積は6000平方メートルとされ、また、その直径総計は大動脈の約800倍といわれる。太い動脈管の壁を構成する組織は一般に3層からなり、内側から内膜・中膜・外膜を区別する。内膜は、血管内腔(ないくう)に接する1層の内皮細胞層と、その外側にエラスチンからなる等質性の弾性線維(内弾性板)をもつ。中膜はきわめて厚い膜で、輪走する多量の平滑筋線維と弾性線維からなる。太い血管ほど中膜が発達していて厚くなる。外膜は縦走する結合組織線維からなるが、太い血管では、膠原(こうげん)線維と弾性線維が混在する。中等大の動脈あるいは大動脈では、自己の外膜の中に血管自体を養う自養血管(血管の血管)が走る。自養血管は、とくに大血管で多い。血管壁では、無髄の自律神経線維が外膜のところで網状構造をつくり、さらに中膜の横紋筋線維の間に入り込んで血管の運動にかかわっている。このほか、血管壁にはリンパ管も分布している。
[嶋井和世]
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