行政機関が、相手方の任意の協力同意を得て、その意思を実現しようとする行為。その性質については、法的拘束力をもたない非権力的行政作用であり、また、相手方に対して直接になんらの法的効果を伴わない事実行為である。行政指導の一種である勧告は、行政手続法による統制の対象である。勧告は、その相手方との関係で、行政機関相互間におけるものと、行政機関が私人(個人・法人)に対して行うものに分けられる。大気汚染防止のための環境大臣による排出基準変更勧告(大気汚染防止法5条)など法令上の根拠をもつものもあるが、法令上の根拠をもたず、行政機関の所掌事務の範囲内で行われるものが多い。勧告の内容は、違法、不当な行為の防止、紛争の解決、利害調整、技術勧告など多様である。
[平田和一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…法令上の用語ではなく厳密に定義することは難しいが,慣例的な用法では,行政機関が国民の自発的協力を前提として一定の行政目的を実現するように働きかける行為を指す。行政指導のうちには,勧告,指示などといった法律上の規定に基づいて行われるものもあるが,多くは,行政処分と異なり,法律の根拠を有しない事実上の行為として行われる。自治体が要綱などに基づいて実施する開発指導はその好例である。…
※「勧告」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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