岩手県中南部、北上平野中央部の市。1954年(昭和29)黒沢尻(くろさわじり)町と飯豊(いいとよ)、二子(ふたご)、鬼柳(おにやなぎ)、更木(さらき)、相去(あいさり)、福岡の6村が合併して成立。1991年(平成3)和賀町、江釣子村(えづりこむら)と合併。JR東北本線、東北新幹線、国道4号、東北自動車道が市域を南北に、JR北上線、国道107号が東西に走る交通の要地で、新幹線開通に伴い北上駅前市街地は再開発された。また東北自動車道北上江釣子インターチェンジと結び付いて北上流通基地が造成され、さらに秋田自動車道北上ジャンクション、北上西インターチェンジがある。中心市街地の黒沢尻は北上川と和賀(わが)川の合流する河岸段丘上に位置し、盛岡藩領時代は北上川舟運の河港として栄え、奥州街道の宿場でもあった。市域内には九つの工業団地があり、パルプ、紙加工品、機械、電機、鉄工などの工場がある。ストーン・サークルの樺山遺跡(かばやまいせき)、縄文時代の集落跡の八天遺跡(はってんいせき)、120基に及ぶ古墳がある江釣子古墳群は国指定史跡。サクラとツツジの名所展勝地公園内のみちのく民俗村には江戸中期の民家旧菅野家住宅主屋および薬医門(きゅうかんのけじゅうたくおもやおよびやくいもん)(国指定重要文化財)が移築されている。8月7~9日の「みちのく芸能まつり」は鬼剣舞(おにけんばい)などの郷土芸能でにぎわう。面積437.55平方キロメートル、人口9万3045(2020)。
[川本忠平]
『『北上市史』(1970・北上市)』
宮城県東部、桃生郡(ものう)にあった旧町名(北上町(まち))。現在は石巻(いしのまき)市の北東部を占める地域。旧北上町は1962年(昭和37)町制施行。2005年(平成17)石巻市に合併。追波(おっぱ)川左岸から追波湾北岸にかけての農漁村。沿岸漁業やカキ、ホタテガイ、ワカメなどの養殖業を行う。水田は1戸当りの耕作面積が小さく酪農団地が造成され、また農産物加工にも力を入れている。海岸一帯は三陸復興国立公園(旧、南三陸金華山国定公園)の一部で、神割(かみわり)崎などの景勝地が多い。
[青柳光太郎]
『『北上町百年の概要』(1975・北上町)』▽『『北上町史』全4巻(2004~2005・北上町)』
岩手県北上盆地の中央にある市。1954年和賀郡黒沢尻町と飯豊,更木,二子,鬼柳の4村,胆沢郡相去,江刺郡福岡の2村が合体して市制。人口9万3138(2010)。1991年和賀郡和賀町と江釣子村を編入。中心の黒沢尻は北上川と和賀川の合流点近くの河岸段丘上に位置し,藩政時代には北上川水運の最大の河港集落として栄え,奥州街道の宿場でもあった。1890年東北本線が開通し,現在では東北新幹線,東北自動車道,秋田自動車道が通じ,JR北上線の分岐点でもある交通の要地となっている。パルプ,機械,電機,鉄工など工業団地の造成によって内陸工業都市の基盤を築きつつある。付近には桜並木の北上展勝地公園や立花の万福寺(毘沙門堂)にある二天王立像および毘沙門天像(ともに重要文化財),黒沢尻柵の国見山遺跡などの名勝,史跡が多い。鬼剣舞(おにけんばい)など県下の郷土芸能が披露される〈みちのく芸能まつり〉は,東北六大祭に指定され,郷土色の濃い夏祭として知られる。
執筆者:川本 忠平
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…陸奥国和賀郡の在郷町。現在の岩手県北上市(1954年市制)の中心地域。北上川と和賀川の合流地域にある交通の要所。…
※「北上」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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