熊本県熊本市北区の一地区。旧北部町。1991年(平成3)熊本市に編入。西端部の更新世(洪積世)末期火山岩の金峰(きんぽう)火山北東山麓(ろく)を除けば、ほとんど段丘礫層(れきそう)の肥後台地からなる。さらに台地は、ほぼ南北に流走する坪井川と井芹(いせり)川の開析によって、東部、中部、西部の三台地に分断され、東部の台地上を九州自動車道が、中部の台地上を国道3号が、井芹川の開析谷をJR鹿児島本線が、それぞれ南北方向に走っている。河谷平地には水稲が、台地には雑木林の間に陸稲、麦、クワがみられるのが伝統的な土地利用であったが、昭和40年代後半から著しく普及したハウス栽培によってスイカ、メロン、野菜の促成栽培産地となっている。旧北部町は熊本市からの工場、事業所、さらに住宅の進出も目覚ましく、ベッドタウンとしての性格も強まりつつあった。釜尾古墳(かまおこふん)は装飾古墳で、国指定史跡である。
[山口守人]
『『北部町史』(1980・北部町)』
熊本県中央部,飽託(ほうたく)郡の旧町。1991年飽託郡の他の3町とともに熊本市へ編入。旧町域の南西部は金峰(きんぽう)山(665m)北東麓の山地,中部から東部にかけては開析の進んだ洪積台地が広がる。鹿児島本線,国道3号線が通じる。中世には鹿子木(かのこぎ)荘,近世には熊本藩飽田郡五町手永に属した。主産業は野菜栽培と米作を中心とする農業で,近年はスイカやメロンの栽培が盛んである。国道沿いに工場が進出している。金峰山山麓の釜尾古墳(史)をはじめ古墳が多い。
執筆者:松橋 公治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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